IAN-Gの無謀旅日記〜香港編〜

期間 2008年12月31日〜2009年1月4日
(行ってきた人、文、写真=IAN-G 同行者=いません)

↑サンタになった布袋様。そんなEast meets Westが味わえるのがここ香港。


12月31日(水)
 いつものことなんだが、今回の旅も二日酔いで始まった。昨日も忘年会でビールに始まり、ワイン、焼酎、しまいにはテキーラまで飲んで、朝起きたら当然の如く頭が痛い。大抵こういうときは胃の中に何もない状態だから東京駅から成田に向かうまでに缶入りのコーンスープやサンドイッチ。成田に着いてからもうどんなどを食べてなんとか胃を落ち着かせる。そのあとはいつものように、両替して、保険に加入して、買い物も済ませてからいざ飛行機に乗り込んだ。
 香港が誇るエアライン、キャセイパシフィック航空の機体はA340-300。航空機の種類に関して色々と分かるようになってからは初めてのエアバス機だ。確かに同レベルのB777に比べると若干狭い感じがするがエンジン音が静かで居心地はいい。離陸直後はなんとなく不安定な動きだったが徐々に落ち着きを取り戻し、機内食を食べた後は寝不足とこの機内の静けさも手伝って速攻で寝てしまい、目が覚めたら香港上空にいた。その後ほどなくして無事香港国際空港に着陸。
 かの啓徳空港からその職務を引き継ぎ1997年に開港した新しい空港だけにキレイで機能的だ。市内まで行く電車も到着フロアからストレートで乗り場までいける。そこから軽く電車に揺られて市内に入りそこからはシャトルバスで今回予約した宿に到着。選んだのは尖沙咀の目抜き通り、ネイザン・ロードにあるホリデイ・イン。オーストラリアはタウンスビルに行った時もホリデイ・インに泊まったこともあるからある程度宿のランクもわかっていたので選んだのだが、完全に香港の方が高いグレードを有していた。通された部屋は17階、案内板には「エグゼクティブエリア」と書かれていたのが若干気になったが、まあそこは普通の部屋だ。一体どんな展望かなと着いた瞬間にカーテンを開けたら・・・きたよ、すごいのが。隣にある重慶大履(チョンキンマンション、香港が誇る安宿集合体)の裏側がバッチリ!!あまりの感動でつい写真も撮ってしまった。

↑見よ、これがチョンキンマンションの裏側だ!!とはいえ香港の都市部の建物の浦側は大抵こんなもんです。

これに気分を良くして元気を取り戻したらすぐにシャワーを浴びて一休みしてから早速表に出ることにする。ここまで点と点の移動であり、電車&自動車越しからしか見てなかった風景を五感全てで感じると、あっという間に観光客から現地人モードに早変わり。とりあえずは街の雰囲気を楽しむためにネイザンロードとその周辺を油麻地まで歩いた。まあとにかく人も建物も看板もエネルギーにあふれている。どれぐらいエネルギーがあるかというと・・・
 実は年末風邪をひいてしまい未だそれをひきずっている。これが何を意味するかというとこの状態で飛行機に乗ると着陸の際の気圧の変化で耳がツーンとなるアレがいつまでも続いてしまうのだ。今回も見事にこの状態に陥ってしまった。3年前にシンガポールに行った時もこうなってしまいそのときは帰る直前まで治らなかったのだが、香港のエネルギーを浴びている間にそれも治ってしまった。手にしたカメラでビルや看板を次々と撮りまくる。


 歩いているうちに日もどっぷり暮れてきたのでネイザンロードを外れて廟街のナイトマーケット、通称男人街をぶらつきに行く。これまでもいくつかのアジアの国を回ってきたが、アジアと言えば夜市であり、さらに言えば屋台である。見ているだけでも飽きないし、食べるものにも困らないから一人旅の人間には非常に助かる。男人街周辺の屋台は大牌當といわれる公認のものなので金銭面でも、衛生面でも安心して食べられる。最初に頼んだのはもちろん港町香港が誇る海産物たち。大好きなレイザークラム(マテ貝)の炒めものとこれは外せないという名物のシャコ。刻んだニンニクとともに揚げただけのシンプルなものだが、12月の夜空の下サンミゲルのビールと共に食べると実にうまい。

↑海に面した香港の名物はやっぱり海産物。歯ごたえ十分のレイザークラム(左)と殻ごと食べたいシャコ(右)。

 これに気を良くしてその次はほかの屋台で第2ラウンド。すでに最初の店でかなり腹は膨れているが、一軒で終わらせるのはもったいない。さっきは魚介類だから今度は肉ということでガチョウのローストを食べる。普通の鶏肉よりも身の締まりがよくてこれもうまい。その後もマーケットをぶらつきながら他にいい店がないかと探しているうちに「ハチノスそば」なるものを見つけてしまい速攻で注文、ハチノスとは牛の第二の胃袋だがそれを ジックリと煮込んだものが乗っかった麺で一気に平らげてしまいたいところだったが、ここでまさかの大苦戦。もっと食べたいのだが胃袋が全くついて行ってくれない。

↑香港は肉だってうまい!!「ハチノスそば」(右)はモツ好き垂涎の一品。

仕方なく重い体をひきずって油麻地の駅から地下鉄に乗って宿に戻った。もちろん宿に戻ったらそのまま気絶寝。毎年の話だがカウントダウンなど全く蚊帳の外で2008年は終了して行った

1月1日(木)
朝の6時半に目が覚める。前回ブリスベンで起きたくても体がちっとも起きてくれなかったのに比べればかなり上出来だ。とりあえずこの日記を書いて、シャワーを浴びてから朝飯を求め街に出る。アジアの国といえば多くの人が外で朝ごはんを食べるから空いている店が多いのだが、いかんせん宿のある尖沙咀は大きなブランドショップばっかりでなかなか空いている店がない。やっとのことで一軒粥麺専家を見つけ当然のように豚モツ粥を食べる。安いし、あまりこれを頼む日本人もいないし、何より大好きなのでよく食べるが、入っていたのは残念ながら子袋のみ。それでも店の片隅で油条を浮かべながら食べ進めばそれだけで地元民になった気分だ。

腹ごしらえも済んだので今日は九龍半島部分の街をとにかく歩くことにする。まず目指したのはビクトリア湾を見渡せる遊歩道で、ここは香港映画版”Walk of Fame”があり、その中心には実にリアルなブルース・リーの銅像がある。この香港が誇る永遠のスーパースターの人気は今なおすさまじく、記念撮影の人でごった返していた。そして遊歩道を注意深く観察すると、ジャッキー・チェンはもちろん、サモハン・キンポー、アンディ・ラウ、ジェット・リー、チョウ・ユンファ、といった世界的にも有名な大スターたちの手形が埋め込まれていた。香港島を望む大パノラマを前に皆下を向いている光景は面白い。ひとくされ下を見てからいざ顔をあげて向かいの香港島を望むと、朝っぱらから見事な風景が。山をバックにした高層ビルの群れ。一通りカメラに収めてあとにする。

↑ブルース・リー像の前はいつだって人だかり、記念撮影をする観光客でいっぱいでした。

次に目指したのは深水歩。ここはさすがに離れているので地下鉄で向かうことにする。駅の窓口でオクトパスカードを買っていざ出陣。尖沙咀から5駅、地元の人たちが毎日の必需品を求める巨大な市場と化した地区でいたるところに商品が並んでいる。街の真ん中には公設市場もあり、のぞいてみると外以上に活気のある場所だった。ほかの国で見なかったものといえば鶏屋。すでにおろしてあるニワトリが足を上げた状態でディスプレイされたのはよく見る光景だが、ここの鶏屋は客の注文に応じてその場で〆てくれるという何ともワイルドで素敵なサービスを提供している。手際よく生きたニワトリが鶏肉になっていく様は実に見事でつい見とれてしまった。何しろ、ボブ・バックランドばりのチキンウイング・フェイスロックでニワトリの自由を奪った後、ガラ空きになった喉元に包丁が一閃!!なにやら得体の知れない箱に入れて血抜きをすればものの数分で事切れ、あっという間に羽根がむしられみんな大好きなチキンになって出てくる。その後数分で注文しておいたと思われるお客が受け取りに来る。まるでこの光景が当たり前のようだ。ただただ感心してしまった。

 この日の昼飯はこの地区にある老舗の蛇屋でヘビのスープを食べる。香港には数は少なくなったもののこういった蛇問屋がまだまだ現役で、自家製の蛇スープを食べさせてくれる。香港のガイドブックを眺めていてすぐに目に入った料理がコレで、こういった類のまだ見ぬ肉には目がないので早速注文。キノコや生姜といったところと一緒に煮込まれた蛇の肉は細長いという点で魚のようであり、身割れせず、弾力があるという点で鶏肉のようだ。

↑コイツがウワサの蛇スープ。うまいだけでなく、デトックスや体の保温機能の増進にも効果があります

 食べてみると確かに少し魚よりの味わいもある。カエルに近いかなという感じもするが、そこまで肉という実感はない。しかし、そんなことは抜きにしてとにかくうまい!あっという間にたいらげて今度は電車で一路旺角に向かう。
 旺角は若者文化、さらに言えばオタク文化の中心地ということもあり元旦だというのにその人の数は多い。ネイザンロードもここら辺まで来ると観光客は少なくほとんどが地元民のようだ。一通り歩き終えて尖沙咀に戻り、今度は尖東駅から電車に乗って紅(石勘←石偏に勘という字)(ホンハムと読みます)にむかう。
 中心部から一駅だというのに観光客は少なく完全に住宅地だが、、現地駐在の外国人が集まる地区らしく、少しここが香港であるということを忘れさせてくれる。ここも元々は港なので海沿いに行くと対岸の絶景はそのままに朝とは全く違う静かに時が流れる空間があった。のんびり釣りに興じるおっさん、愛犬の散歩をするカップル、海を臨めるカフェで優雅な昼食をとる欧米人・・・写真の撮り様によってはゴールドコーストくらいには見えるのではないだろうか?香港島も気持ち横から見るようであり、まさに都会の喧噪から離れた場所。ひととき街歩きの疲れを癒してくれました。


↑左が紅(石勘)、右は本物のゴールドコースト。さて、それっぽく撮れてますか?

 そしてこの日最後に行ったのは九龍城。その先にはかつてあの悪名高き九龍城砦があった。香港返還前の1993年にすべて取り壊され、公園として生まれ変わって既に15年もたってしまったが、かつての残り香を少しでも感じようということで一路尖沙咀からダブルデッカーに乗って向かう。この2階建てバス、乗り心地はなかなかで、二階部分は立つ人がいないし、普段とは違う景色が楽しめる。あの道路に張り出した看板も考えてみればこのバスに当たらないところにかかっている。30分近くかかったが九龍城に到着。早速跡地の公園に行く。すっかり変り果てていたが、最後まで残っていた中心部の建物だけ残されていた。ここは最後は幼稚園や養老院として使われてたのだそうな。ここから海岸線方面にはかつて啓徳空港もあって、この上をジャンボやトライスターやDC-10あたりが頻繁に低空で飛んでいたのかとしばし感慨に浸る。見てみたかったなぁ。なんてところで日も暮れたので再びバスで尖沙咀に戻る。さて今日の飯はどうしようかなと思いながらこの付近一番のおしゃれスポット、ナッツフォードテラスに行ったのだが・・・
 ちょうど通りの真ん中にある海鮮酒家(というよりもう完全にレストランの雰囲気)で足を止めると、なんと生カキがある!これにつられて入って席に座った瞬間、心の中で「やってもうた〜」。普段東京にいたってこんなおしゃれな店になんか行かないのに何も香港まで来てここまでおしゃれにならなくていいのに〜。

 ・・・まあ、仕方がない。ここはかつてUKだったことだし、それに昨日は屋台で今日はこんなところ、ということができるのも香港ならではということで気持ちを落ち着け、とりあえず生カキを楽しむ。いつものように何も考えずに1ダース頼んだら全部違う種類を持ってきてくれた。向こうも観光客がいきなり一人で上がりこんで「生カキ1ダースくれ!」と言ってきたもんだから気合を入れてくれたのだろう。そう、なんだかんだ言ってもやっぱり生カキはうまい!

↑これ全部違う産地のカキです。いや〜、香港でもやっぱり生カキってすばらしいものですね〜。

↑えらくトラディショナルなローストラム。中華でも羊は食べますが、大抵はマトンなのだそうです。

メインは肉が食べたかったのでローストラムにする。さすが元UK、目にも鮮やかなミントソースがついてきてこれがあるとどんなに脂っこい肉を食べても口の中はさっぱりしたままなのだから不思議なもんです。ボリュームも満点でお腹も大満足。酒はギネスで通しました。ここでワイン頼んだらなんか負けな感じがしたのですよ。腹一杯になったところで朝行った海沿いへ足を運ぶ。もちろん「百万ドルの夜景」をみるためだ。8時からイルミネーションショーがあったらしく行く時もそれを見終えて帰る人たちがいっぱいだったが、そこは世界の観光地、人の波はまだまだいっぱいいました。一通りカメラに収めて帰って、そのまま寝てしまいました。疲れたんですよ。

1月2日(金)
 昨日の晩もたっぷり寝たので何とか7時には起床。眠い眠いとか言いながら朝っぱらからビールが飲めてしまう自分がなんかイヤ。今日は九龍を出て、対岸の香港島に宿を移すので、まずは身の回りをかたずけてからいつものように朝ご飯を求めて外に出る。昨日はおかゆを食べたので今日は麺。懲りずに豚モツそばを頼んだら今度こそレバ、ガツ、子袋がたんまり入ったものが出てきた。大変満足して店を出てからは宿のチェックアウトまで再び街をぶらつく。九龍公園にも行ってみた。さすがに朝の9時を超えていたからかマンガのような「太極拳の集団」は見られなかったが、実際にやっている人は結構いたし、現代的にランニングしている人もたくさんいた。いっぱい食べる香港人はその分いっぱい運動もするらしい。
 一通り歩きまわった10時半、荷物を持って勇躍対岸へ向かうことにする。尖沙咀から電車でも行けるのだが、そこは自分も観光客、町と街を船で移動するという非日常を体験したくて(シドニーで散々経験したような気もする)スターフェリーに乗って行くことにした。九龍側のターミナルはいい感じで時代を感じさせ、船のレトロぶりに負けない建物だった。ターミナル内にいくつもある大きな扇風機がさらにいい雰囲気を醸しだしてくれている。

(左)ビルの谷間、ビクトリア湾を優雅に航行するスターフェリー。シドニーにいた頃を思い出すなぁ・・・
(右)香港名物2階建てトラム。こんなレトロな車体ですが、しっかりとオクトパスカード対応です。


 アッパーデッキに乗ったからか観光客ばっかりだったが、乗船時にロウワーデッキも見るとこちらは地元のオバチャンたちがたくさん乗っていた。で、香港島に到着すると一転、こちらのターミナルはピッカピカの新しい建物。中環、湾仔あたりはすでに再開発のメスが入ったところだということか。中環に着いたのは11時半、宿のチェックインが2時だから暇つぶしも兼ねて宿のある銅鑼湾まで歩くことにする。真夏なら間違いなくできない芸当だが、涼しくてよかった。(この正月は南国香港にしては寒かったらしく、最高気温もずっと20℃以下でした。)
 名物2階建てトラムがせわしなく道を行きかう中、のんびりと荷物をひきずりながら歩く・・・のだが、あの幅の広いネイザンロードを歩きなれるとこちらの道がとんでもなく狭く感じる。駅にして4駅、銅鑼湾に着いたのが午後1時。あと一時間どうしようかと大荷物を抱えながら考えていたら近くにもう空いているバーを発見。この疲れをいやすにはもう冷えたビールしかない!といういつもの単純な考えをもとに一杯飲むことにする。ここのバー、ビールを自前で醸造しているということで、頼んだペールエールもなかなか香港くんだりでは飲めない本格的な逸品だった。で、いざ宿へチェックイン。ここでの宿は思い切ってデザイナーズホテルを予約したのだが、そこはやっぱりデザイナーズホテル。看板がないし、玄関先もよく分からずいったん素通りしてしまう。もう一度地図で確認してようやく到着。入るなり流暢な英語で迎えてくれた。広東語ばかりの空間から一転、久しぶりの英語に気を良くして少し話をしてから部屋に案内される。入ると、ここは一体どこなの?というほどにオシャレな空間が待っていた。室内は白でまとめられ、机、電気スタンド、洗面台、シャワーヘッドにまでデザインが行きとどいている。アメニティも豊富だし、冷蔵庫にはビールだけでなくシャンパンまである!

↑このホテル、デザインしたのはフィリップ・スタルク。吾妻橋の「コレ」もデザインした人です。

 荷物をほどき外に出ることにする。まずは近くの飯屋で腹ごしらえ。宿を出るとすぐに街市のあるジャーディーン・バザールがあり、そのまままっすぐ行くと地下鉄の駅に着くので分かりやすい。飯屋もたくさんある。食べたのは意外にもこれが始めての土鍋ご飯。味付けは自分で調節出来たのは嬉しい限りだ。ここまでみっちり歩いて腹も空いていたのでしっかり完食。そこから電車で上環に行き、キャットストリートやウエスタンマーケットから歩きまわる。香港島はビクトリアピークに代表されるように山がちでメインストリートから南にいくとすぐに階段が連なり、坂道が続く。なかなか歩き甲斐がある道だ。


↑観光客泣かせの急な坂道が続くのが香港島。こういうところに住んでいたら運動不足などとは無縁なんでしょうねぇ。

↑トラムの車内風景(2階)、狭いです。階段は人ひとりやっと通れるくらい、大柄なイギリス人はさぞかし苦労したでしょうな。

ひと通り歩き回ってから次の目的地の湾仔まではトラムで行くことにする。木のぬくもりが感じられる車内はまあとにかく狭いが、運賃もたったの2ドルだし、これも風情ということで。狭い車内をみな譲り合って立ったり座ったりしているので停留所で降り損ねるなんて事もない。ここでも街市をのぞいたりしながらぶらついているとそろそろ日が暮れてきたのでここで湾仔を離れ、酒を求めて香港の六本木こと蘭桂坊にいく。

 中環の駅から歩いて数分。ここはもうおしゃれなバーやパブばっかりで一瞬ここがどこかわからなくなってしまう。パブ好きとしてはうれしい限りだが、さすがにここまで連なってあるのもどうかと思う。最初の店では無難にテトレーズを頼みゆっくりと飲み干す。屋台ではサンミゲルや青島ビールが幅を利かせているが、ここにくればカスバがドラフトで飲めるし、ギネスもキルケニーも、ストロンボウのサイダーだって飲める。さすがは元大英帝国、そして世界都市。
 2軒目で飲んだ蘭桂坊オリジナルらしいビールを頼んだあたりで徐々に酔いが回ってきたのだが、どうもハッピーアワーで二杯目がサービスだというこで半ば強制的にもう一杯飲む。さすがに炭酸の強いピルスナーを空腹の状態で2pt連続で飲むのは結構きつい。すっかり出来上がってしまい蘭桂坊を後にする。
 さ、帰るかという前にまだ晩飯をちゃんと食べてなかったので銅鑼湾のはずれにある街市の大牌當でツブ貝とポークチョップを食べて腹いっぱいにしてから宿に戻ってシャワーを浴びて寝ました。いや〜よく歩いた。

1月3日(土)
 香港というと香港島と九龍半島というイメージがあったのだが、空港のあるランタオ島をはじめその周辺の離島を含めて「香港特別行政区」なのだそうだ。こういった離島部分には古くからここに定住している漁民や都会の喧騒から離れてきた人たちが住んでいるそうな。その中のひとつが南Y島。ちなみにこれでラマ島と読みます。(フォントがないので同じ形の”Y”で代用しましたが、これで「あ」と読む漢字なのです。)ここは離島の中でも比較的人口も多く船も頻発しているので早速朝から中環のフェリーターミナルに向かった。ここでもオクトパスカードが大活躍でチケットを買う手間もない。さっさと船に乗り込み出発を待つ高速船で約25分の行程をうたた寝をしながら過ごし、目を覚ますと同じ香港とは思えない空間があった。

↑まるで水墨画になりそうな風景。コレも21世紀の香港なんですよ。

 早速上陸。港沿いは人の往来も多く商店も軒を連ねている区域で、観光客や地元の欧米人向けの雑貨屋なんかもあるがほとんどは地元島民の生活の便を図る店ばかり。今までいくつかのこういった都会から少し離れた島というのに行ったがここもこれまでの例にもれず魅力ある島のようだ。何より香港でほとんど見えなかった空がここではたくさん手に入る。
 ひとくされ歩いてから昼飯ということになったが、せっかく島に来たからには新鮮な海の幸を食べたい。というわけで島に点在する海鮮當に入ってみた。頼んだのはもちろんジャンボシャコ。そして、いざご対面。

↑見よ、この大きさ!このシャコが食えればもう本望というもの。食べるのに夢中で酒飲むのも忘れてしまいます。

 やってきたのはそれこそロブスターくらいの大きさでビールを飲むのも忘れて大格闘。身が思ったよりは少ないのは甲殻類の宿命か。それでもなんだろうこの満腹感は。大していっぱい食べたわけでもないのに。そのあとは腹ごなしを兼ねて再び島を回る。お土産も少し買ったし、念願のシャコも食べたし、大満足で2時前には島をはなれた。
再びうたた寝しながらの帰りの船を経て中環に戻ってくる。

 戻ってからは本格的にお土産さがし、ありきたりな観光土産はイヤだし、あまり高いものは買えないし、乾物や漢方薬は臭うし、かさばるだけだし・・・こういうときに役に立つのはやっぱりスーパーマーケット。そう、観光客向けでない品物、地元の人たちが普通に使っていてそれが一堂に会しているところといえばそれはもうスーパーしかない!香港のスーパーマーケットは「Welcome」というチェーンが幅を利かせていて、たいていの場合建物の地下にある。入ってみると確かに何でもある。酒、食料品、日用品、さらには見ようによってはオシャレ雑貨まで手に入ってしまう。またしても一緒に買ったエコバッグに詰めておみやげ買いは終了。コレで今夜も安心して酒が飲めるってもんだ。

 夜はソーホーに繰り出す。ここは蘭桂坊と並び香港随一のオシャレスポットで、中環地区の背後、ヴィクトリアピークに至る急な勾配の坂道にいくつものカフェやらバーやらレストランが並ぶ地域。もちろん人の足だけでいこうとすれば翌日足が筋肉痛になる(もう若くないので翌日って事はないかも)こと間違いなしなのだが、行政のほうもそれを察してかソーホーへは中環から長い長いエスカレーターが伸びて地元民と観光客の足となっている。こういうときの定石として、まずは一番上まで行ってみようと思ったらこのエスカレーター、いつまでたっても途切れない。飲食店の明かりが届くところでいったん上っていくのをとめて下りながら点在する店を見て回る。その中で見つけたパブでギネスを飲んだ。味は・・・やっぱり同じだ。ゆっくり時間をかけて飲んだ後は、さらにこの周辺をぶらつく。香港の人たちもよもや毎日中華料理ばっかり食べていないよなと思っていたが、なるほどこういったところでたまには食事をするのか。結構地元の人たちも多い。自分はといえばすでにナッツフォードテラスでおとといオシャレなディナーなんぞを楽しんでしまったのでここでは酒だけにする。
 そして歩いているうちに大牌當を見つけた。それも店舗の前に席を広げるタイプではなく完全な青空屋台だ!中環のわりと真ん中の場所でこういったものを見つけられるあたりやっぱり香港は面白い。ちょうど席も空いていたことだしここで最後の晩飯を食べることにする。頼んだのは海老餃子と鶏とシイタケの蒸し物。餃子にかかっていたラー油が辛いがうまいうまいが辛い。大満足でソーホーを後にした。ちょっといい気分になったので勢いそのまま再び蘭桂坊で飲み直し。土曜の夜ということでゴキゲンな人たちであふれかえっている。こんなところに混じって一人ビールを飲むのもずいぶんなれたものだが、不意に酔っ払っている地元の人たちに話しかけられたりすることも多く、コレはこれでやっぱり楽しい。ふと時計を見ると夜の10時半。まだまだ町はこれからという感じだがここら辺で今日は終了することにした。銅鑼湾に戻っても人の波は消えることなく、しかし、表のシャッターは閉まり始め確実に夜は更けていく。もう明日の今頃は東京に帰っているのか・・・

1月4日(日)
最終日も首尾よく7時に起床。毎度のように日記を書いていたのだが保存する前にいきなりプログラムが強制終了してしまいせっかく書いたものが水の泡に・・・とりあえずまたあとで書くとして重要なところだけ書き留めて表に出る。とりあえず適当に入った店で腸粉麺を頼んだらあからさまな即席めんが出てきた。しかもソーセージも中華のそれではなく普通のウインナー。ここに来るまでずっと謎のままだった「出前一丁麺」にもメニューを見ていたら遭遇してしまった。確かにこのインスタントラーメンのような麺に比べれば出前一丁のほうがより高そうだ。まあ、これはコレでうまかったし、こういうのもありなんだとうまく納得して昨日に引き続きおみやげ探しのためのショッピングを始める。

↑食にうるさい香港人にも認められた日本が誇る「出前一丁」。コンビニでももちろん人気商品です。

 それにしても香港のスーパーは何でもそろう。街市という強力なライバルがいるからだろうか品揃えが豊富でそれでいてなかなか安い。現地在住の外国人の強い見方だ。支払いもオクトパスカードが対応していて、残額全て使い果たして気分よく店を出る。
 宿をチェックアウトして一息ついてからは再び品物を物色。銅鑼湾だけでは物足りないので湾仔までトラムで向かい街市にも顔を出す。いいものは見つからなかったが、またしても蛇屋を見つけ香港にて3度目の蛇スープをいただいた。ここのは身も大きく少々の骨も残っているほどワイルドで食べ応えがあった。蛇で腹が満たされたところで残念ながらタイムオーバー。荷物を受け取り一路香港駅まで向かい、そのまま空港に向かった。当たり前だが成田行きの便は本当に日本人が多い。大抵ここで日本語モードに戻され、帰国しなければならない寂しさがこみ上げてくる。夕暮れの赤い陽を浴びつつキャセイのA330は飛び立った。

 帰りは追い風に乗るのでフライトはたったの3時間(!)。あっという間に成田に到着。4日間ひたすらに食べて飲み続け重くなった体とたくさんのお土産が入って重くなったカバンの両方を引きずりながら東京に帰り着きましたとさ、めでたしめでたし。


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