IAN-Gの無謀旅日記 
〜ロンドンの休日編その3〜

期間 2011年8月13日〜2011年8月16日
(行ってきた人、文、写真=IAN-G 同行者=いません)

↑ワッピングからみたタワーブリッジ。今回もこんな風にロンドンを斜めから見るつもりだったのですが・・・

8月13日(土)
それにしてもえらい時期にロンドンに行くことになってしまった。何がえらいかといえばロンドン各地で起きている暴動。暴徒と化した若者がいたるところで破壊や略奪の限りを繰り返しているという、どこかのマンガの言葉を借りれば「暴力が支配する世紀末」のような中へ乗り込むのだ。さすがフーリガンの国、とは感心していられない。イーストエンドをはじめ観光地から少し離れればそこはすでに暴動が起きているところであり、今まで以上に気を引き締めていかないとこちらまで地元民に間違われて暴動に参加させられてお縄頂戴・・・いやいやさすがにそれはないだろうが、普通に暴徒に狙われて身ぐるみはがされてしまうくらいのことはありえる。って、こんなに警戒するのもずいぶん久しぶりだなぁ。

 心配はこのくらいにして旅を楽しむことにしよう。お盆休みのピークは過ぎたのか成田へ向かうリムジンバスは快調に進む。7時半に箱崎を発ち、朝の8時半には空港へ。ヴァージンびいきの人間がどうしてこうなってしまったのか分からないが、今回はBAを利用することになったのでターミナルは第2。久しぶりに使うので勝手もいまいち分からない。ならばやることはひとつしかない。両替と保険をいつものように済ませたらさっさと出国して、酒盛りをしつつ搭乗時間を待つことにした。
 
 久しぶりといえば今回はロンドンへ飛ぶ飛行機も長らく乗っていなかったB777。最後に乗ったのは3年前だからキャビンの広さなど改めて新鮮に写った。離陸も水平飛行も実に安定したものだった。ここら辺はさすがはベストセラー機。あまりに座り心地がいいので11時間のフライトのうち半分の6時間も寝てしまった。ロンドンってこんなに近かったっけ、と思うくらいあっという間にヨーロッパ上空。いつ着陸したか分からないほど安定した挙動でヒースロー空港に着陸した。

↑BAのことだからジャンボだと思っていたらどっこいB777も活躍しているのですね。

 BA専用の第5ターミナルもすでに経験済みだからまごつくこともない。毎回死闘を繰り広げているイミグレーションも税関も今回は特に問題なく通過。いつもこれくらい楽だといいのだが・・・ヒースローエキスプレスの切符を手に入れてさっさと市内へと向かう。地下区間から地上に出て緑の多い風景が徐々に建物に取って代わり、トレリックタワーが見えてきたらもうパディントンの駅。見慣れた駅、見慣れた町並みがホッとさせてくれる。とるものとりあえず駅前のパブでリアルエールを一杯いただく。やっぱりうまい!そこから改めて地下鉄に乗って宿に向かった。前回来た時に泊まったLAMBETHのTUNE HOTELを今回も予約しておいた。部屋は狭いが、宿で寝るだけの身にはこれで十分。眺望だって悪くない。それに意外と便もいいのだ。

 長旅を終え、本当なら一眠りしたいところなのだが、今回の旅はきわめて短いので時間は無駄にできない。荷物を置いたら早速行動開始。まずはナイツブリッジにできたというマクラーレンのショールームに行くことに。おなじみのハロッズがあるここは常に観光客や地元の買い物客で一杯。買い物とあまり縁がない身なので今まで寄り付かなかったところだが、なかなかいい町並みだ。結構ロンドンらしさの出ている風景が広がるし、地下鉄の駅もいい味出している。そしてお目当てのショールームの前に来るといっぱい人が群がっていた。看板代わりにハミルトンのチャンピオンマシン、MP4/23が掲げられてこれだけでもうインパクトは十分。ショールーム内にはおそらくマクラーレンがもっとも輝いていた時代のマシン、MP4/4も飾られている。あいにく営業時間は過ぎていたが、もとより入店できるのは予約制でひやかしははなからできないようだ。一通り外からカメラに収めてハイドパークに向かって歩く。陽はまだまだ高い。

↑マクラーレンのショールーム。意外に小さいですが、たった一車種を売るためのものだからこれで充分なのかも。

 ブラブラと歩いていくうちに公園の入り口で今回ロンドンを旅するにあたってマスターしなければいけないものが目の前に飛び込んできた。自転車である。去年スタートしたロンドンのバイクシェアリングサービス、正式名称は"Barclay's Cycle Hire"、これが観光客にも解放されたのでぜひ乗ってみたいし、乗りこなしたい。同じシステムのサービスはダブリン、パリ、ブリュッセルでも見てきたが当時は支払いに必要なICチップ内蔵のクレジットカードがなく颯爽と街を駆け抜けていく人たちを指をくわえて横目で見ているだけだったが、それを手に入れた今は大手を振って使うことができる。ああ、文明の利器ってすばらしい。早速利用手続きを開始。面倒な入力は少なく、サクサク進む。支払いも済み晴れて使うことができるようになったのだが、もう一難。このハイドパークの入り口の自転車置き場は利用者が多いためにパスワード入力するためのボタンがいかれているものばかり。使い始めて一年も経っていないのにこの疲弊っぷり、人気の高さが伺えるが、同時にちゃんとメンテナンスしてくれよ、と突っ込みたくもなる。広い公園内にあふれるほどこのサービスの自転車が見られるのにここだけ全部ドックが埋まっているはそういう理由だったのか。場所を変えて改めてパスワードを入れると今度こそ解錠に成功。ついに自分も自転車族の仲間入りだ。

(左)ハイドパークにずらりと並ぶ自転車。ただしこれに乗るまでが一苦労。
(右)露店の一切ないポートベローロード。少々寂しいですが人の流れは変わらず。


 うれしさついでにまずは肩慣らしで公園の中を転がしてみる。自転車はいわゆるママチャリ然としているがギアも3段ありそこそこのスピードが出せる。ただしブレーキの効きはいまいち。そこまでスピードを出すなということだろうか。まあ、これも許容範囲かな。サマータイムでまだまだ明るい午後6時、緑の中を自転車で駆け抜けるのは実に気持ちがいい。風を切るのが気持ちいいものあるが、ローカルになったような感じが何より最高である。そのまま勢いに乗って乗り継ぎを繰り返しながらポートベローロードに向かうことにした。せっかく土曜日にロンドンに着いたのだからここのマーケットに顔を出さないと、と向かったはいいが、すでにマーケットは終わっていたのか、それともここでも暴動があったから自粛しているのか露店はなく広々とした通りを観光客が自由に闊歩していた。やけに警察官が多かったのが暴動がまだまだ収束していないことを物語っている。ここだけではない。思えばこの短い時間だけでもかなりの数の警察官を見てきた。なんだか物々しいがこれだけいれば安全だろう。
日が傾き、暗くなってきたのは夜の9時。自転車から降りて、パブで晩飯、今日は珍しいところでモロッコ風ミートボールとクスクスを食べる。なかなかうまい。宿に戻ってシャワーを浴びたらそのままベッドに倒れこんだ。
8月14日(日)
 昨日は10時には寝てしまったので目が覚めるのも早く、朝の4時には起きて日記を書く。実に健康的な一日の始まりだ。テレビでニュースを見つつ、ネットも見つつすごしていたら夜明け前だった空もいつの間にか明るくなってきたので朝の7時には外に出て行動開始することにする。BBCの天気予報によれば朝の気温は15℃前後。長袖じゃないと寒い。薄手のシャツだが一枚持ってきてよかった。そんなひんやりとした空気の中まず向かうのはもちろん自転車置き場。この宿の便のよさは地下鉄の入り口、飯屋、オフライセンス、パブがすぐ近くに集中していることだが、それに加えてバイクシェアリングの自転車置き場もすぐ目の前にあるのだ。使い方は昨日のうちにマスターしたので、きわめてスマートに自転車を取り出しいざ出発。
 今日の目的地はイーストエンド、そのためにはまずシティに出るのが上策とこぎ始めるとものの10分もしないうちにブラックフライアー橋を渡りシティの入り口へ着いてしまった。この近さには驚かされた。地下鉄なら遠回りの末乗換えが必要だというのに。世界有数のビジネス街、シティも日曜の早朝ということもあり車の通りは少なく、ルドゲイトサーカス、セントポール大聖堂、イングランド銀行、ガーキンビルなどなどこの界隈の主だったランドマークをゆっくり回りながらでも30分もかからずリヴァプールストリートの駅に到着。いったん自転車を降りてここからは歩きでイーストエンドに入っていく。まず向かったスピタルフィールズのマーケットはまだ準備中、ブリックレーンの店も閉まっているのでシャッターにかかれたアートなどをカメラに収めてからマーケット近くのカフェで朝飯。もちろんイングリッシュブレックファーストである。やっぱりこれを食べないとこの国に来た気がしない。


↑イーストエンドにはアートがいっぱい。店の開いていない日曜や早朝でも楽しみがあります。

日曜ということもありブリックレーン周辺でもマーケットが出るようでみな準備の余念がない。というよりどこもまだ準備中だったのでいったんここを離れ、オーバーグラウンドに乗ってイーストエンド名物のひとつコロンビアロード・フラワーマーケットに顔を出すことにする。ここの売り物は花を始めガーデニング用品全般だが、その間におしゃれな店も軒を連ねているので花に興味がなくてもこれはこれで楽しい。散歩ついでの地元の家族連れからカメラ片手の観光客、いっぱいの花を抱え、仲良く手をつないでいるゲイのカップルまで、歩いている人たちも売られている花同様に多彩である。こういうのを観察するのもマーケットの醍醐味だ。

↑高緯度ロンドンに似つかわしくないヒマワリだってコロンビアロードに行けば出会うことが出来ます

 道すがらに見つけた朝からやっているパブで休憩をしてから再び自転車でブリックレーンまで戻る。すでに準備は完了したようで通りといわず建物の中といわずさまざまな店が軒を連ねている。飯の屋台もアジア、アフリカ、もちろん日本も含め各国料理が自慢の味を競っているのだが、大変残念なことに朝食べたイングリッシュブレックファーストがまだ消化し切れていない。さわやかなパクチーのにおいが食欲を掻き立ててくれても実際に料理を見るとそれだけで胸焼けがしてくる。こんなにいろいろ並ぶのだったら朝飯抑えればよかったが、後悔先に立たず、まだまだ重い体を引きずり移動を繰り替えす。自転車があることで行動範囲が広がるのが実にうれしい。移動手段がバスかオーバーグラウンドくらいしかないイーストエンドだがこれと自転車をうまく活用することで南はテムズ川岸のワッピングでガイドブックにも載っているパブに入り、サンデーローストの昼食に出会い、北はダルストンで肝っ玉母さんがいるパブで怒鳴られるなどイーストエンドを網羅することが出来た。今回の旅の目的のひとつをまずはクリアである。

自転車のおかげで歩きよりも体力の消耗も少なく、しかし、そこそこは体を動かすのでエールもうまい。ダルストンから再びオーバーグラウンドに乗ってカムデンまで行ってからは自転車を乗り継ぎつつ宿に戻る。
いったん休憩してからは晩飯を探しつつブラブラと町を歩き回ることに。昼間体力が温存できたのでこの時間でも歩くのがまったく苦にならない。途中しっかりとパブでステーキにありつき、いろいろ冷やかしつつ歩いていたら結局ベイカーストリートから宿のあるランベス・ノースまでベーカール線の8駅分、見事に歩ききってしまった。ソーホーに中華街、トラファルガー広場、ロンドンアイ、ビッグベンと気づいたらすでに行かなくなって久しい観光名所をくまなく回ってしまった。

↑ウエストミンスター大聖堂、ビッグベン、トラファルガー広場。撮ったのはいずれも宿への帰り道なんですよ

宿に帰り着いたのはちょうど日没の9時過ぎ。またしても10時にはベッドに転がり込むというきわめて健康的な一日を終えた。
8月15日(月)
 空が明るくなり始めるころに目を覚ましたらやっぱり朝の4時。昨日と同じ7時に宿を出て自転車にまたがる。今日は遠出をするので必要以上の腹ごしらえをすべく向かったのはもちろんスミスフィールド。週明けで憂うつにシティへと仕事に向かう人の波をかき分け、朝飯という定義を覆してくれるロンドン肉屋式朝食を朝っぱらからエールとともに食い進む。肉にまみれた一皿は毎度情け容赦なく腹を満たしてくれる。満腹になったところでセントパンクラス駅から乗るのはユーロスター・・・ではなくミッドランドへいく電車で、目的地はノッティンガム。切符を買って乗り込むとそこそこ新しい車両で乗り心地もなかなか。二時間かからず到着してしまった。
 早速市内を探検するところから始める。地方都市であると同時にロビン・フッドゆかりの場所であるここは観光地でもあるので人の流れは結構多い。一番の観光名所であるノッティンガム城はあいにく開いていなかったものの、ここでの目的地は観光客でにぎわっていた。イングランド最古のパブといわれる「Ye Olde Trip to Jerusarem」がそれである。ノッティンガム城の下の岩場にへばりつくように建てられたそのパブは改めて実物を見ると拍子抜けするくらい小さい建物だったが、中に入ると洞窟の中に迷路のように空間が広がっていて雰囲気は満点、エールも地元のものが充実している。観光地ゆえ注文まで時間がかかってしまうのがちょいと難点だが、それでもここまできた甲斐はあったというもの。伊達に毎年エール専門のガイドブックに載っているわけではないようだ。

↑これが"Ye Olde Trip to Jerusalem"。これだけでもノッティンガムに行く価値ありです。

ノッティンガムに来た目的はあらかた終わったので後はいつものようにパブめぐり。「Ye olde Trip〜」のような歴史、エールの質、雰囲気などなどがハイレベルのパブが鎮座しているからか、市内のパブも総じてレベルが高い。地元産のエールもいっぱい楽しむことができた。朝飯は消化しきれていないが今後のことを考えて軽く昼飯も食べてからノッティンガムを後にすることにする。午後2時、まだまだお日様は高すぎるくらいに高い、一都市だけではもったいないとここから電車で30分ほどのダービーへ行くことにした。こちらはノッティンガムほどベタな観光地ではないのだが、パブめぐりをメインに町を練り歩いてみることにする、環状道路が町をぐるりと囲んでいるので街自体は回りやすいが、パブが市内中心部ではなくやや離れたところに点在しているので少々骨が折れた。

↑ダービーの町並み。分かりやすい「地方都市」をしていました。

消耗した体力をエールを飲んで回復させる、の繰り返しでも何とかならなくなったあたりで駅に戻ることにしたらその周辺にもいい感じのパブを何個も発見してしてしまい小刻みにハーフパイントを飲みながらようやくたどり着く。ロンドン行きの列車に乗ったら寝てしまうことこそなかったものの終始ボーっとしながらすごし、気づいたらもうロンドン。小雨降る中またしても自転車を引きずり出して晩飯をどうしようかと迷いながらこぎ進んでいて、何軒か飯屋もパブも見つけるのだが、なかなか自転車置き場が見つからない。往々にしてこのサービス、このパターンが多すぎだろう。結局ウエストミンスターまで行ってしまい近くのパブでベタにフィッシュ&チップスを食べてから宿に帰った。
8月16日(火)
 昨日おとといと4時おきの7時行動開始とあまりに張り切りすぎたので今日は少しゆっくりと朝の時間を過ごす。それまで綿密な計画を立てていたのに、今日は夜以外に何をしようか決めていないということもあるのだが。それでも外に出たら出たで何かあるだろうと外に出るととにかく寒い。真夏とはいえ太陽が出ていないとここまでか、というくらい寒い。体を温めるためにやっぱり自転車に乗り込み気まぐれにテムズ川南岸を行く。ヴォクスホールを越えてしばらくしたらバタシー発電所が見えてきたので自転車こぎつつカメラ撮りつつの忙しい道中となり、おかげでかなり熱い。

↑テムズ川南岸から撮ったバタシー発電所。曇り空にもよく似合います。

そして汗がすぐに冷えるので落ち着くと体感以上の寒さになる。ここまで朝飯も食べないまま自転車を転がし続けて、あまり進展もないので再びイーストエンドに行って基本に立ち返り街歩きをすることにする。選んだ駅はBethnal Green、駅に着くと目の前のパブがもう空いていた。これに気をよくして目抜き通りを歩いていくと面白い町並みが続いていく。やっぱりイーストエンドは肌に合うようだ。そのまま進んでいくと偶然にもパイ&マッシュの店を二軒も発見!やっぱり地道に歩いてよかった。しかも朝の9時半から開いているというではないか!うなぎは昼に食べる予定だったのでここではパイにしたのだが、これが大当たり。リカーもうまい。返す返すもいい発見をした。これで気分をよくしてさらに歩き続けて昼にはいったんイーストエンドを後にして、タワーブリッジの先にあるいつも行くうなぎ屋で昼食。こちらもやはり期待を裏切ってくれない。

↑パイもうなぎもリカーが命。店によって微妙に味が違うのですよ。

腹もいっぱいになったところで午後の予定を考える。お土産探しにロンドン交通博物館に行くか、ときめて向かうは観光客でいっぱいのコベントガーデン。すでに一度入ったことがあるのでミュージアムショップを見るだけにしようかとも思ったがやっぱり展示も見ることにした。軽くと思っていたら最終的に2時間以上もいてしまった。それだけここの展示は面白いということだ。決して英語の説明を読むのに時間がかかっているわけではない。
 博物館を出たらもう5時近かったのでいったん宿に荷物を置きに行って少し休憩してから最終日恒例のウエストエンドでのミュージカル鑑賞に向かった。ロンドン来るたびにWi will rock youを見るので今回で6回目だが、一度として同じショーにならないのが魅力だろう。今回も満員札止めの中で始まり、スタンディングオベーションで終わった。今夜も最高のショーを見させてもらった。宿に戻ったのは11時。あ〜あ、今回の旅も終わっちゃったなぁ。

 近くでは起こっていたそうですが、結局暴動には巻き込まれることはなく無事に帰ることが出来ました。

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