IAN-Gの無謀旅日記 〜韓国、ソウル編〜

期間 2012年4月29日〜2012年4月30日
(行ってきた人、文、写真=IAN-G 同行者=いません)

↑ハングルを少し覚えてから行ったので店の看板読むだけでも結構楽しめました

4月29日(日)
 さて、久しぶりに無謀な旅である。何しろお隣韓国とはいえ一泊二日で海外旅行なのだから。長い旅なら慣れっこだがコレだけ短いのは初体験。いつもはガイドブックを一旦読んでは無視するのだが、今回ばかりは入念な情報収集を行った。そうしないと延々酒飲んでいるだけの旅になってしまう。
 今回の旅はいつもの成田からではなく羽田から始まった。家から空港まで地下鉄&モノレールで一時間もかからない移動だ。以前は羽田の国際線ターミナルなんて掘っ立て小屋に毛が生えた程度の建物でしかなかったが、再国際化してから一気に広く、きれいになってしまった。モノレールから降りたら階段無しで出発ロビーまでアクセスでき実に使いやすい。新ターミナルの目玉であるショップは朝早いのでそこも開いていなかったが。
 今回は短い旅行だから預ける荷物もなければチェックインも事前に済ましてしまったし、両替だけしたらさっさと出国、わずらわしい行列に並ぶことなく済んだ。とにかくストレス無く過ごしたいのには理由がある。先週末からひいた風邪を引きずってしまい今日も鼻が爆発状態。くしゃみ鼻水を止めるために朝からビールは欠かせない。酒盛りをしているうちに搭乗時間を迎えいつもの中央左通路側へ。座っている間は鼻も落ち着くのだが立ち上がるとくしゃみの連発という実に都合のいい状態が続く。機内では仕方無しにビール片手におとなしくしていることにする。しかし近さという点では他国の追随を許さない韓国、2時間というごく短時間で金浦空港に到着してしまった。ちっとも落ち着けやしない。再びくしゃみを連発しながら入国。荷物の受け取りはないのでさっさと市内に向かうことにする。
 市内に着いてもいまいち外国の感じはしないのだがそれでもハングルで彩られた町並みを見続けていると少しずつ実感がわいてきた。

↑派手、雑然、喧騒。アジア市場の魅力が身近で味わえるのが南大門市場。ソウル上陸直後に向かったのがここでよかった。

 宿に行くにはまだ時間があるのでそのままの足で南大門市場に入りこむことにする。銀色のモールがついた万国旗がたなびく一角は天気のよさもあって多くの人出でにぎわっていた。衣料品の店が多いが、それに混じって青空屋台の飲食店も結構あり、お昼時ということもあって昼食がてらマッコリをグイグイ空けている人たちも多い。何か買うにしてもさすがにいきなり荷物を増やすのはアレなのでここは見るだけにして市場内の食堂で昼飯にボリュームいっぱいのチョッパル(豚足)をいただく。うわさには聞いていたがひとつ品物を頼むと数種類のキムチにスープまでついてくる豪華さ。一人では十分すぎる量だ。恐るべし韓国料理。でも、にらのキムチはうまかったなぁ。

 腹がいっぱいになったところで宿にチェックイン。明洞にも鐘路にも近い絶好のロケーションだ。一泊だけだからと適当に選んだわりには結構いいところだった。鼻は相変わらず最悪の状態なのでまずは旅の汚れを落として一休みする。テレビでは韓国プロ野球の中継がやっていた。いい天気だなぁ。
 夕方になり日が少し傾き過ごしやすくなったので再び外出。次の目的地である広蔵市場まで近くを流れる清渓川沿いをブラブラしながら歩くことにする。雑然としたイメージがあるソウル、実際に軽く歩いてもそのイメージは崩れることはなかったが、そんな中でも都会のオアシスはしっかりとあるようだ。多くの人が川に足を入れてひと時の涼をとっていた。

↑なんだかんだでソウルで一番のお気に入りスポットは清渓川でしたね。都会の喧騒から離れるにはここに限ります。

 地下鉄の駅にして約3駅分みっちり歩いて着いた広蔵市場は日曜の夕方ということもあり閉まっている店が多かったが食べ物屋台だけは元気に営業中。一通り歩き回ってからここでのお目当てのユッケ屋を探し当てて潜入。ユッケとレバ刺し、センマイ刺しの盛り合わせを韓国名物の焼酎とともに食べ進んでいく。ものがものだけに貪り食うのではなくゆっくりと噛み締める。

(左)広蔵市場の食べ物屋台はきわめてオープン。体調がもう少しよければ気まぐれにフラッと座っていたのですが・・・
(右)もはや日本では食べづらくなってしまったユッケやレバ刺しをソウルで。これのためだけに韓国へ行く時代になるかも。


 というより鼻の調子はここでも最悪で食べるのも一苦労、というのが正しいところ。酒もうまいこと入っていってくれない。本来ならこのあとさらに食べ歩きを重ねるはずだったが不本意ながらここだけで満腹になってしまった。いい感じの屋台が軒を連ねているというのに・・・

 悔しがりながら市場を後にしてソウル最大の繁華街、明洞に向かう。新宿と渋谷を足して何も割らない感じのここはまさに何でもあり。日が暮れても人の波は絶えることがない。それにしてもなんて日本語の多い外国だろう、ここは。店員の呼び込みが日本語なのは当たり前。飲食店のメニューもわりと正確な日本語だし、「メディアに紹介されました」的な看板にはなにやら見覚えのある日本の芸能人が写っている。よくよく見ると日本のテレビ番組のようだ。なんか最後の最後に日本に帰ってきたような気分だ。ここも何も食べず歩くだけにして9時ごろには宿に戻ることにした。とにかく今日は早めに休息してこの鼻を何とかしなければいけない。毎度ナイトライフとは縁がないが今日も早々に終わらせることにした。

↑ソウルが外国に感じられない理由がこういうところにも。なんだかなぁ・・・


4月30日(月)
 結局昨夜はグダグダしたまま惰眠を貪り続けてしまった。まあ、おかげで鼻の調子は元に戻ったからよしとしよう。快気祝いに早速ビールを一本開ける。うまい!窓の外から見えるソウルの空は気持ちよく青く澄んでいる。この青空に誘われるまま朝飯を求めて行動開始。再び明洞へ行き、これも事前の情報収集で知った粥屋でアワビがたっぷり入ったお粥を食べる。韓国のお粥はどちらかというと日本のおじやのようにぽってりしていて中華のさらさらとしたお粥のファンにとっては少々毛色の違うものであったが、一緒に来るキムチはうまいし、何より朝からこれでもかという量のあわびを食べてしまった。ろくに食べられなかった昨日の遅れを徐々に取り返していかねば。

↑ソウルでも朝はやっぱりお粥。しかもアワビ粥ですぜ。おかずのキムチも実にうまい!

 宿をチェックアウトして背中の荷物とともに街に繰り出す。暑い。ソウルは日本で言うと東北よりも北にあるから寒いと聞いてきたが、うそだ。現に今日の最高気温は30度近く。Tシャツ一枚で十分の陽気だ。汗をかきかきまず向かったのはソウル最大の古宮、景福宮。観光地といえばどこもたくさんの人ごみに囲まれるのであまり好きではないが、ここはかつての宮殿だけあって敷地が広く、人がどれだけ多くても気にならない。これは過去の君主たちに感謝だな。着いた所でちょうど昔の衛兵交代の儀式が始まり、これを見てから宮殿の中を見て回る。とにかく広くているだけで気持ちがいい。

↑景福宮周辺も都会の喧騒から避けられるスポットですかね、観光客は多いですが。

 青空に囲まれすっかりリフレッシュして今度は仁寺洞へ。ここは歩いてカメラを取るだけに終始した。休日ともなるとたくさんの人出らしいが、韓国では今日は普通の月曜日、観光客がちらほらだけの落ち着いた、のんびりした雰囲気で歩き回れた。仁寺洞を北から南に出るとちょうど鐘路に出たので再び広蔵市場まで歩いて、昨日食べようと思って食べられなかった緑豆のチヂミ、ピンデトッをこの日の昼飯にする。昨日とは打って変わって平日だから飲んでいる人が少ないのか酒を頼む空気ではなく、あいにくマッコリと一緒に、とは行かなかったが市場の雰囲気と合わせて実にうまかった。

↑ソウル市民のワードローブ、東大門。そこらへんを歩いている人たちも皆東大門カジュアルなんでしょうかねぇ。

 午後はまず東大門へ。ここも売っているものは衣料品ばかりなのでここで何かショッピングというわけではない。しかし、ソウルで「市場」らしい活気に最もあふれているのはここだと思う。だからこそわざわざここまでやってきたのだ。南大門の観光地化した感じよりもローカルな感じが心地よい。とはいえここを歩き回ったあと再び南大門に向かうことになるのだが。というのも今回はすでに韓国に行ったことのある母親からお土産のリクエストがあったのだ。それは何かというと「靴下」。そういえば自分も韓国のお土産で靴下もらったっけ。いわく「南大門市場に行けばいくらでも売っているから」ということで、確かに市場内のあらゆるところで山となって売られていた。しかも相場は1ダースで10,000ウォン。一足あたり100円以下という驚きのプライスだ。出発前に小さくたためるかばんを渡され「入るだけ買って来て」というのでしめて48足をお買い上げ。たくさんの靴下が入ったビニール袋をぶら下げて、毎度おなじみ怪しい東洋人、いや東洋人ばかりなのでただの怪しい人になってしまった。
 一仕事を終え市場の屋台でようやく韓国料理らしい韓国料理、冷麺をいただく。この噛み切りにくさがやっぱり本場だなぁ。もちろんここでもキムチにおこわ、韓国のりなどこれでもかといわんばかりのおかずがついてきた。飯屋のおばちゃんは日本人だと分かるとこちらが食べている間も精一杯の日本語で話しかけてきてくれる。アジュマのエネルギーがそのままこの料理にみなぎっているようだ。

↑一人飯がしにくいといわれる韓国ですがこういう感じの市場の店で何とかしのぎました。次は体調を万全に整えて行きたいもんです。

 空港に戻るまであと数時間、靴下を買ったことでかばんがひとつ増えたが、ここまで来れば少しくらい荷物が増えても大丈夫だろう。いざとなったら清渓川沿いのバーで酒でも飲んでいればいいことだし。と帰りの電車が通る鐘路、仁寺洞方面へ体を向ける。しかし、昨日同じ時間帯でたくさんの人でにぎわっていたはずのこの界隈のバーはどこも準備中。しかし、ここまで暑さでやられてお決まりの「もうこの疲れをいやすにはよく冷えたビールしかない」状態なので仕方なしにコンビニで缶ビールを買って清渓川の緩やかな流れを眺めつつビールを開ける。まったくこの国は酒飲みに優しくない国だ。イスラム教国のマレーシアだってここまでではないのに。結局酒に関してはいい出会いがあまりないままソウルとは別れの時。地下鉄に乗って金浦空港へ。
 空港内にロッテモールやアウトレットショップがあって最後の最後まで外貨を獲得しようという韓国人の商魂たくましさをまざまざと見せ付けられた。この空港から出る国際線はほとんど日本行きだが、そのほとんどが免税店の大きな袋を片手、人によっては両手にぶら下げている。かく言う自分も現地で食べられなかった悔しさからレトルトの参鶏湯を空港内のロッテ免税店で買ってしまった。カバンいっぱいの靴下に免税店の袋。結局自分もソウルで買い物を楽しんだ日本人観光客となって羽田に戻ることとなった。 

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