IAN-Gの無謀旅日記 〜ソウル編、その4〜
期間 2014年10月12日〜2014年10月13日
(行ってきた人、文、写真=IAN-G 同行者=いません)
↑江南では工事現場の看板も江南スタイル踊ってます。
10月12日 (日)
日本の南にはすでに台風がきているが、東京の朝はまだ晴れている。朝の6時、ようやく朝日が顔を出し始めた頃に家を出る。地下鉄だって順調である。着いた羽田空港はたった2連休だというのに結構な人出だ。季節がいいから遅めの夏休みで海外へ、という人も多いのかもしれない。現にうちのかみさんも今日から会社の研修旅行でバリ島だ。つまり今回は久しぶりの一人旅、目一杯食って飲むつもりだ。
ソウル行きの飛行機は満席。B777サイズの飛行機がしっかりと埋まるということはいかに不穏な空気が流れているとはいってもソウルはやっぱり人気の旅行先だということか。確か、今週末は韓国も連休だったはずだから帰りの客も結構多い。意外と見ただけでも分かるもんだ。ぎゅうぎゅう詰めの中離陸を待つ。それで次の瞬間気づいたらもう食事のサービスが始まっていた。朝早かったからそのまま眠ってしまったらしい。機内食を軽く食べて少ししたらもう着陸態勢に。飛行機の旅を楽しむ間も無くソウルに到着した。
入国はスムーズに進みそのままで電車でソウル駅へ。まずはその足で南大門市場に行く。今回の昼飯はここのポジャンマチャと決めていたのだ。というのも前々回の訪問でここで飯を食べた後、ディスプレイされていた食材の中にコムチャンオ、つまりヌタウナギを見つけ、次回はこれを食べるしかないと思っていたのだが前回は日曜日でなかったからかポジャンマチャが出ていなくて実現しなかったのだ。適当な店に座りコンムチャンオを注文。ポジャンマチャの料理なので調理方法は唐辛子炒めである。肝心のコムチャンオはプリプリシコシコの歯応え系でコレはクセになる食感。ただ、半端なく辛いのでビールの間隔を広くとらないと辛さにやれてしまう。大汗かきながらなんとか完食して次の目的地へ。
↑観光地ではありますが観光客に負けない数の地元の人がいるので南大門市場は結構飽きませんね。
少し観光客らしいこともしてみようと思い北村の韓屋村に行ってみた。景福宮のすぐ隣に位置しているから市内からもそんなに離れてはおらず南大門からでも乗り換え一回で15分ほど。韓屋は普通の民家がほとんどだが中にはホステルになっているもの、美術館、博物館になっているもの、表通りの方ではカフェなどのおしゃれショップになっているのも多い。道も起伏に富んでいて絵になるのだ。街並みをカメラに収めて適当なところで切り上げて宿へ向かう。
↑あんな韓屋、こんな韓屋。普通に人が住んでるところもあるらしいんですけど、生活観はあまり無いんですよねぇ。
今回は今までの鐘路や明洞ではなく新沙、つまり江南である。確かに中心部からは少し離れてはいるが地下鉄一本で行けるし利便性はいい。途中では地下鉄が地上に出て自動車と併走しながら漢江を渡るちょっとしたアトラクションもある。しかも宿に真ん前はソウル一のおしゃれスポットカロスキルだ。なかなか悪くないロケーションである。宿は「ザ・観光ホテル」という感じで部屋はシンプル。(こちら→
www.youngdonghotelseoul.com)荷物を降ろしシャワーを浴びて夜に備えるため少し昼寝をする。毎日の生活のリズムがあるからこれは外せない。
日もだいぶ傾いた5時ごろ再び外へ。まずは新たにデザインプラザもできた東大門周辺を散策。この辺にも屋台があるという情報は散見していたが、折からの再開発でそのほとんどが無くなってしまったらしい。少々肩透かしを食らったが清渓川ではなにやらコンサートもやっていたし、もともと人の集まる地区だからそれなりに楽しみつつ歩き、その足で広蔵市場へ。やっぱり一人飯はここが一番安定だ。まずは刺身で一杯。いつものユッケ屋はすでに行列ができていたので諦めて二軒目ではコッテギと今回初挑戦のスンデ。で、このスンデがとにかくうまい。酒のつまみというよりはこれ自体立派な食事だ。食い終わるとかなり腹が膨れた。
↑夕焼けの東大門も結構絵になります。屋台はこんな感じしかなかったですが。
↑広蔵市場は昼行っても夜行っても絵が変わりませんね。いつ行っても同じ空気で飯が食えるのは素敵です。
ここで終了でもいいのだが、もう一つだけやり残したことがあるので昼に続きまたしても南大門市場へ。
↑夜の南大門市場。そういえば夜来るのは初めてだなぁ。20世紀のムード歌謡をBGMにしみじみ一杯。
夜になると多くの店が閉まっていて昼間の喧騒はないがそれでもポジャンマチャは元気に営業中。ここで昼間アジョシが食べていたサンナクチ、活テナガダコの刺身を食べねばといういうことなのだ。どうやら踊り食いに関してだけ言えば旬が冬らしく、それが今まで見なかった理由なのかもしれない。「同じ年でも季節違えば食うものも違う。注文するとおもむろに熱帯魚用の小さい水槽から引っ剥がされ、無慈悲にバンバンと足が切られていく。皿に盛られたそれはまだウネウネと動いていてコレは期待大。味自体はタコである。それに変わりはないが、何より口の中でも吸盤が吸い付いてくるという貴重な体験をすることができた。ただし、日本の芸能人のリアクションはちょっと大げさかな。この時のお供はビールではなく意外にも韓国では初となるマッコリ。よく冷えていてカルピスソーダを飲むようにゴクゴクいけてしまう。ただし炭酸は弱いので胃袋に隙間はまったく無くなり動き始めると体は重いままである。少し腹ごなしのために明洞まで歩いて少し夜の繁華街を楽しんでから江南に戻り、さらに少しカロスキルを歩いてから宿に戻る。今日もよく食べてよく飲んだ。
↑あれ?今回はこないと思ったんだけど・・・
10月13日(月)
今朝も首尾よく六時半には目が覚めたが、外はまだ少し暗く結局7時過ぎまで眠ってしまった。そして、外が明るくなってから朝飯を求めて外に出る。今回の宿がある新沙の近くにソルロンタンのうまい店があるということだ。というよりこの店をネットで見つけたから今回の宿はここにしたようなものだ。駅の反対側だが、オシャレで華やかなカロスキルとそれほど離れていないところに極めてローカルな店があるというのも都心部から少し離れたところならでは。出てきたソルロンタンはそれまでの白濁したスープという常識を覆す澄んだスープでそれでも牛のダシは抜群。酸味の強いキムチも良く合う。朝っぱらから大汗かきつつ貪り食ってしまった。ちなみにこの店24時間営業らしく朝もはやからそれなりの客が朝飯を求めてきていて、中には早くもソジュ片手のアジョシもいた。
↑新沙の裏通りの店でソルロンタン。熱いスープと辛いキムチで目が覚める!!お暇な人は探してみては?
一旦宿に戻りもう少しグダグダしてから宿をチェックアウト。最寄りの地下鉄駅から一気に中心部に戻るのもあれなので、一駅歩いてアックジョンまで。同じアックジョンといってもオシャレタウンのロデオキルまでは離れているがそれでも裏通りにはおしゃれなカフェやレストランが相当数ある。かなり歩いて写真もだいぶ撮らせてもらった。そのままの勢いで今度は梨泰院へ。これまで昼と夜のこの街の表情を見てきたが朝はまた違った趣がある。まだ閉まっている店のシャッターに絵が描かれていたり、道行く人も街を掃除する人たちが多く、今夜のための酒を運ぶトラックもせわしなく狭い通りを行き来している。ひと腐れ回ったところで早めの昼飯。もちろん梨泰院に来たからには食べるのはタコベルのタコス。昼前でまだまだ人が少な静かに食べることができた。
↑店が閉まっているとこういう物も見えるんです。
昼からは地下鉄を乗り継ぎ弘大へ。アートな学生街ということでいい街並みがあると期待しつつ地上に出る。大学周辺の店は見事に飲食店だらけ。その中でも個性的な店は多く見ていて飽きない。こんなにあってどこも商売成り立っているのかと他人事ながら心配してしまうが、ちょうどお昼時だったので多くに店が賑わっていた。ああ、大丈夫なんだろうなぁ。もちろんここに一人で飯を食っている人なんていない。けっ、このリア充どもめ。いいさ、まだ腹へってないし。
↑弘大はオシャレな学生街。でもこの時期街路樹のイチョウから銀杏がバンバン落ちてるので要注意。
↑ドラマの撮影シーンにも遭遇。でもこんな快晴の日に雨のシーン撮らなくても・・・
2時間近く歩き回って今度は隣の駅の新村にでる。表面上はこちらもオシャレタウンの顔をしているが、少し裏に入ると車庫のところにビニールのヒラヒラがついているホテル、まあ、早い話がラブホテルがたくさんあってこの街の二面性を映し出している。ある程度歩いて休憩ついでに現代百貨店で涼もうかと足を進めたら、そのすぐ横の通りに大衆食堂が軒を連ねている。せわしないソウルにあってこの通りだけは時の流れがゆっくりしているので気になって見てみるとどこも一人飯の人がたくさんいる。コレは飯屋を開拓するチャンスとばかりに豚肉料理屋でスンデクを注文。中ぶりのスンデにタンやミミガーその他たくさんの豚のうまいところが入っていてボリューム満点。キムチもあっさりながらしっかりと味が付いていていくらでも食べられてしまう。実にうまかった。ここまで飯屋が大当たりしたのはいつ以来だろう。やっぱり旅の飯は出たとこ勝負がいい。
これで気分良く新村を離れて2号線でそのまま乙支路3街へ。ここまでだいぶ歩いたのでお決まりの「この疲れを癒すにはよく冷えたビールしかない!」タイムである。それまでソウルではコンビニでビールを買って寂しいビールタイムだったが、今回からはホプでよく冷えた生ビールである。午後3時のマンソンホプは人もまだまばら。周りの店が営業中、いや工場も多いから作業中だから店の外のテーブルもまだ出ていない。しかしそんなことは御構い無しにビールとノガリで乾杯。
↑夜は人でいっぱいのマンソンホプも昼間はこんな感じ。目の前で働いている人たちにスマヌスマヌと謝りつつビールを流し込む。
いい気分になって最終目的地の南大門市場へ。目的は恒例の靴下ショッピングである。来てすぐはこれが南大門市場かというほど屋台が少なかったが目星をつけるため少し歩いているうちにどんどん屋台は増えていき、あっという間にいつもの南大門市場に。これで安心して買い物ができる。何件もハシゴしてしめて50足をお買い上げ。少し時間が余ったので出来たばかりのポジャンマチャでまたしてもサンナクチとマッコリで一杯。まだ明るく観光客が多い中でサンナクチを食べるものだから自分の周りに見物渋滞ができている。確かに珍しいだろうが、見世物じゃねぇ。
↑結局今回は南大門市場に始まり、南大門市場で終わりました。それでもここには新しい発見がまだまだありそうです。
かなりいい気分になってからソウル駅に戻った。電車に乗って金浦空港についてみると、台風の影響は確実に来ていた。まずこの時間に出る大韓航空とアシアナ航空の便はすでに運休が決まっている。機回しを考えれば明日飛べないかもしれないのだからそれもそうだろう。JALとANAは予定どおり飛ぶそうでまずは一安心。しかし出国して搭乗を待っていると、台風の影響で千歳空港に向かう可能性があるというアナウンスが流れ周囲がザワザワ言い出した。そうか、そうきたか。そうならないよう祈りつつ乗り込み飛び立った。日本海を越えるところまでは順調だったが、日本列島に入ったところで飛行機の針路が変な軌道を描き始めた。どうやら羽田に着陸はするそうだが滑走路が混雑して着陸が順番待ち状態で、仕方なく新潟から群馬あたりをぐるぐる旋回している。結局羽田には一時間遅れで到着。12時間乗って1時間の遅れはたいしたことないが、2時間のフライトで1時間の遅れは結構きつい。当然傘なんて持っていないから台風の中最寄の駅から家まで歩いてぬれねずみになって結局深夜12時過ぎに到着。最後の数時間だけで今まで一番きつい韓国旅行になった。