期間 2009年5月3日〜2009年5月6日
(行ってきた人、文、写真=IAN-G 同行者=いません)
↑シンガポールに向けて紺碧の空を行くA380。そういや窓側の席に座るのも久しぶりだなぁ・・・
5月3日(日)
朝の6時に気分良く起床。二日酔いのない状態で旅に出るのはいつ以来だろう?心身ともに軽やかに家を出る。ゴールデンウィークの移動は土曜のうちにピークを迎えたようだから車の量はいつもよりぐっと少ない。その一方で成田エクスプレスは案の定ほぼ満席の状態。不況だとはいえ円高に加えて燃油サーチャージの大幅ダウンで海外に行こうという人はやっぱり多い。そして成田に到着してびっくりしたのがすれ違う人たちがみな一様にマスクをしている!旅行者だけじゃない。空港の係員も飯屋の店員もみなマスク着用だ!確かに一番タイミングの悪い時に新型インフルエンザが世に現れてしまい用心に越したことはないのだろうがそれでも異様な光景だ。いつものように保険に加入したらサービスでマスクをくれた。つけてくれということなのか?
そしていつものように酒盛りを経て搭乗口に向かう。目指すは46番ゲート。ついにあの超大型旅客機エアバスA380とご対面。胴体の太さはもとより、翼の厚み、垂直尾翼の高さ、どれをとってもそれまでの旅客機の常識から逸脱している。ボーディングブリッジも1階に2箇所、2階に1箇所と一部2階建てのジャンボよりも多い。それまでとは一味もふた味も違う空の旅が待ち受けているようで心も弾む。そして、乗るとその超豪華な設備にびっくり!離陸してからはその静けさにびっくり!!さらに途中2度だけお決まりの気流の悪いところがあったがそれ以外は素晴らしい安定性でびっくり!!!と終始びっくりしながら7時間のフライトはあっという間に過ぎて無事シンガポールに到着。新しくできたチャンギ空港のターミナル3は実に開放的な建物で気持ちがいい。電車で一路市内に向かった。
↑エアバスA380。今回の旅の目的の8割はコイツに乗ること。一種異様なその巨体には威厳すら感じてしまいます。
今回の宿は地下鉄アウトラムパーク駅からすぐのところにある”New Majestic Hotel”。前回の香港旅行の時に初めてデザイナーズホテルなどというものに泊まってみたら結構おもしろかったので今回も同じ路線のホテルだ。ショップハウスを改造して作った小ぢんまりとした建物だから一人では広すぎるということはないし、サービスも高級ホテルに負けない質だし、アメニティも豊富でカッコイイ。冷蔵庫を開けたらビールはヒューガルデンホワイトだし、やっぱりあった。シャンパンが。目覚まし時計代わりにBOSEのCDプレーヤーがあって、そこにiPodのドックまで付いている(つまりお手持ちのiPodを差し込めばBOSEの高音質スピーカーで音楽を聞けるという算段だ!)。至れり尽くせりの装備だ。
↑こんな部屋に泊まる日本人、男一人。どうか指のひとつも指して笑ってやってください。(部屋は笑わないでやってください)
シャワーのお湯は熱いし、何より窓もあるし。3年前のあの「窓が無くて、お湯の出が悪くて、時々排水溝がとんでもない音を出す」部屋とは大違いだ(近いところにあるのだけど。)
上機嫌で旅の汗を流して晩飯を食べに市内へ向かう。ラッフルズスクエア駅の近くにあるラオパサというホーカーセンターにサテ屋台が多いというので早速向かったのだが、悲しいかないきなり道に迷ってしまった。間違ってクラークキーまで歩いてしまう。どうやら疲れで地図を見る能力も欠如してきているらしい。心の中で半泣きになりながら今来た道をとぼとぼと、戻りようやく到着。ついてみると市内の真ん中のホーカーだから客引きが多かったり日本語メニュー(香港と違い悔しいことに割と正確だ)があったり、ちょっと市民の台所の趣には欠ける。しかし、すでに道に迷った身、もはやここから別の場所に移動する体力も気力もないし、だいぶ腹も減ってきたのでとにかくサテを食べまくることにする。本数にして30本以上!!
↑このサテ、間違いなく3〜4人前くらいの量ですよね。人間疲れると何をしでかすか分かりません。
こんなのステーキ2枚とモモ肉1枚くらいの量だから楽勝さ!とビールとともに食い進んだら一気に満腹に。薄々感じてたがやっぱり以前に比べて量を食べられなくなったことを痛感した。そそくさと宿に戻ると10時近かったので今日はこれで終了。よくよく考えたら昨日もろくに寝てないし、とにかく昼間から飲みっぱなしだ。明日の予定をあれこれ考えながら眠りに落ちた。
5月4日(月)
昨日は早く寝たので苦もなく6時半に目が覚める。以前は5時半には起きていたのだがシンガポールの5時半はまだまだ暗い。しかも、外をのぞいてみると、雨。しかもかなりのドシャ降り、当然のことながら傘なんぞ持っていないので今日一日どうしようかと考えながら日記を書いてシャワーを浴びて、ビールを飲んで、8時半にようやく空が明るくなったかなと外に出てみると雨はもうやんでいた。
これ幸いとまずはチャイナタウンで朝飯。前日過酷な労働を強いられた肝臓をいたわるため栄養満点の豚レバ粥を大汗かきながら一気に食べる。これで腹の調子も乗ってきたところで地下鉄に飛び乗って向かった最初の目的地はハーバーフロント。
セントーサ島の入り口であるここは、3年前は建築ラッシュ真っ只中でやけに殺風景だったが、それもすでに終わり、セントーサ行きのモノレールが開通し、VIVOシティという大型ショッピングセンターもできた。そしてシンガポールを代表するタイガービールの博物館、「タイガーライブ」もその新たにできたところの一つだ。ビール好き&醸造者としてはとりあえず足を運ばねば、と開館の11時を待って乗り込んだ。しかし人の気配がほとんどない。それもそのはず今日は月曜日。しかも午前中から酒飲みに来る人間自体いるわけがない。入り口で聞くとやっぱり今日始めての客のようだった。というわけで紹介のビデオも、展示スペースもすべて独り占め、案内役のオネーチャンと二人きりだ。常に人でいっぱいのギネス・ストアハウスやXXXXの工場とはえらい違いだ。
細かい醸造の秘密なんかはあまり出てこなかったが、とりあえずタイガービールの発展の過程はよくわかった。こういうあたりはなんともシンガポールらしいといえばらしいのだが・・・
そしてお楽しみの試飲タイム。ここでようやくほかの訪問者1組と会うことができた。キンキンに冷えたビールを自らついで(泡だけ出す機能のないタップで注ぐのはこれが初めてだ!)とりあえず最初の一杯は一気で飲みほす。これに感心してくれたのかもう一杯もらってしまった。(入場料に含まれるのは一杯だけのはずなのだが・・・)
↑タイガーライブでは自ら注いだ生ビールを飲むことができます。コレ、意外と新鮮な経験なんですよね?
酒が入ると英語がよく出て来るからそこからはスタッフの人たちと話をしながら二杯目をゆっくり飲んでだあたりでツアー客らしき集団がドヤドヤと来たので、お決まりのパブマットをお土産に買い大満足でハーバーフロントを後にした。
宿に荷物を置いて、宿の近くのオシャレなショップハウス群を右に左に見物しながら向かったホーカーで昼飯。久しぶりの海南雉飯はやっぱりうまい!ガツガツと食い進んでいると、向いに座ってきた人がどうやら日本人のようで、ものすごいビクビクしながら「ここ座っていいですか?」とジェスチャーをしてきたので丁重に英語で返事をしたらなぜか返事は「謝謝」。そこまで地元民に見えるのか?(だとしてもシンガポールで北京語しか話せない中国人なんて自分の年代にはあんまりいないと思うのだが・・・)なるべく観光客に見えないようにしている努力が報われたので実は少し嬉しかったりもする。
↑シンガポールといったらやっぱりホーカー(屋台村)。観光客でもローカル気分で飯が食べられます。
午後は電車で郊外へ出る。地元の人たちの生活が見えるカトンという地区まで足を運んだ。シンガポール中心部はそのほとんどがビジネスか観光に特化していてなかなか素の顔を見ることができないが、もちろんどこかで普通に日々を暮らしているはずだ。
乗っていった地下鉄が高架に出てきた。郊外へ向かうムードは満点だ。
最寄りのパヤ・レバ駅からカトン中心部までは歩いて15分ほど。団地がひしめく通りには市内にはない自動車の修理工場や鳥屋(観賞用の方ね)を頻繁に見かけ、果物屋には同様に市内ではあまりお目にかからないドリアンも売られていた。この匂いをかぐと東南アジアに来たという実感がする(でも食べませんよ、ビール飲んでからドリアン食べると死ぬそうですから) 午後2時ごろになると今度は地元の中学生らしき集団がそこかしこからわらわらと出てきておしゃべりしながらバスを待ったり、近くの店で買い物したり、ひたすら家路を急いでいたり、とこれ以上ない生活感を味わえた。飯屋もたくさんあったのだが、すでに腹はいっぱいだったので、写真を撮るだけにしておく。その後はカトンの街並みを楽しみながらさらに練り歩く。古いショップハウスもこの辺はたくさん残っていてカラフルな町並みだ。ただ、去年マレーシアのバンサーを歩いた時のように炎天下ひたすらに歩いた悪夢がふと頭をよぎったが、朝雨を降らした雲はこの時間でも太陽の光を遮ってくれ、比較的快適に歩くことができた。
↑忙しい市街地と違い、のんびりとした雰囲気がカトン地区の魅力。観光客の少なさ加減もいいです。
パヤ・レバ駅に戻って市内に行く電車に飛び乗った。ラッフルズプレイスの駅に着いたのは4時半、晩飯までは少し時間があるからとボート・キーにあるパブでギネスを飲むついでに近くにあるマーライオンの写真を撮りに行く。そこまでの道はシンガポールGPで使われたレーストラックでもあり、この道をF1マシンも通っていたのかとしばし感慨に浸る。マーライオンパークに着いてみるとさすがはこの国一番の観光地、夕刻でも曇り空でも人でいっぱいだ。
↑ええ、マーライオンです。シンガポールに来たからにはコレだけはイヤでも撮っておかないと。
一通り撮り終えて川沿いでよく冷えたギネス(シンガポールらしいや!)を飲む。ホーカーで瓶ビールをグイグイと空けることが多い中、落ち着いて静かに飲めるパブはシンガポールでは貴重な存在だ。汗も引いたところで宿に帰って、シャワーを浴びてから晩飯を求めてまずは大きなホーカーのあるニュートンへ。ここではとりあえずムスリム料理を食べてみようと緑色の月と星が描かれている看板を探す。炭水化物系はまだまだ後だし、スープ系もおなかにたまりそうだなと、選んだのはロティ・ジョンという料理。写真を見る限りではちょいとしたつまみに見えたのだが、いざ実物を見たらその大きさにも驚いたが、立派な炭水化物だだった。いきなり最初からこんなに食べていいものか、と思ったが、結構軽く、大好きな羊肉も入っているからどんどん食が進む。店のオッサンは「日本のオコノミヤキみたいだろ?」と言っていたが確かにそれに近い。だがやっぱり満腹になってしまった。思えばイスラム教徒は酒を飲まないのだから「つまみ」という概念があるわけがなかった。
それでももう一軒くらい回りたかったがちょっと物色するだけですぐに客引きが来るのがうっとうしくなったのでニュートンを後にする。
地下鉄で2駅乗って今度はオーチャードロードにきた。ここら辺に結構いい感じのパブがあるらしいという情報を手に入れたので行ってみた。店は地下にあるのだがそれほど入りにくいという感じはない。ここではイングリッシュエールの”Old
Speckled Hen”を飲む。これに、ギネス、キルケニー、ハイネケン、タイガー、そしてストロンボウのサイダーがあるのがシンガポールのバー&パブの基本形のようだ。(たまにカスバやテトレーズもあり)
しばしボーっとしてから再び夜のオーチャードロードに繰り出す。この国随一の目抜き通りだから人の波は途切れることがない。ここで少しまた腹が減ってきたので近くにあったホーカーであらためて晩飯とする。頼んだのは待ってましたのサルボ貝の塩ゆでとエイのグリル。
↑(左)生カキがなくてもコレがある!! イヤ〜、世界のどこに行ってもやっぱりサルボ貝ってすばらしいものですね〜
(右)エイのグリルチリソース掛け。意外に淡白な白身でちょいと拍子抜けでしたが、でもウマイ!
しばし世の中のことをきれいサッパリ忘れて貝を開け、むさぼるように食べる。これぞ至福の瞬間!!エイも臭みを感じさせない上品な白身で一気に完食。腹一杯になったところでチャイナタウンに戻りマーケットを物色し、最後にシンガポール風刺身で一杯やってから宿に戻った。今日も大汗をかいたのでシャワーを浴びてベッドに横になったらそのまま寝てしまった。
5月5日(火)
いつものように平穏な朝を迎える。朝方の雨もないから日の出も心なしか早い感じがする。今日は遠出をすることにしたので日記を書き終えたらすぐに外に出る。目的地は、ジョホールバル。隣国マレーシアまで陸路で国境を越えてみることにする。国境までの移動はアラブストリートの近くにあるバスターミナルから。運賃も$2.5とやけに安い。それだけこの国境越えは両国民にとって気軽なものなのだろう。緑豊かな住宅地を進み、30分ほどでシンガポール側のイミグレーションがあるウッドランズに到着。ここは出国だけだからパスポートを出すだけなのですぐに通過。再びバスに乗ってコーズウェイの長い長い一本道を渡り終えるとそこはもうマレーシア。バスを降りて今度は入国審査へ。入国カードもわりと適当に書いたが、別段何も聞かれることなくパス。さすが世界最強、日本のパスポート!
そしていざ、ジョホールバルの街へ出てみる。シンガポールとは水路一つしか離れていないにもかかわらず(シドニー湾やスワン川の方がもっと幅がある)明らかに違う国だ。当然のことながら書かれている文字はマレー語、車はほとんどがプロトン(マレーシアの自動車メーカー)、シンガポールではほとんど見る事のない交通渋滞があり、銀行に行けば”Islamic Bank”の看板が。飯屋では”HALAL”の文字は当たり前のようにあって、公共の施設にはしっかりと「お祈りの間」もある。多民族国家のシンガポールにももちろんムスリムはたくさんいるが、彼らへの配慮は国教がイスラム教のマレーシアにはやっぱりかなわない。とにかくシンガポールから来ても十分にここは「外国」なのだ。
↑”Restoran”(呼んで字のごとく「レストラン」)や”Kedai〜”(「〜商店」)などのマレー語表記を見るとマレーシアに来た実感が湧いてきますな。
とりあえず朝飯がまだだったのでまずはマレ-料理をということで、ナシビリヤニを食べる。マトンの煮込みをかけたらまさにカレーだ。これがまたシンプルでうまい!支払いはもちろんリンギッドで、去年クアラルンプールに行った時に両替したのがまだ少し残っていたので現地でいきなり一文なしということもなかった。
そこからは一気に市中を歩き倒す。全体的な印象しては「のんびり」と時が流れいる。常に忙しく人が動いているシンガポールから来たからそう感じるのかもしれない。暑さに負けずバリバリ仕事をするのがシンガポール人なら、ジョホールバルの人たちは熱さに身を任せて生活している。結構起伏があるのと雲の隙間から徐々に太陽が出てきてとにかく暑いのだが、その中を約3時間ひたすらに歩き回り一通り街のめぼしいところを見終えたので昼飯はビールを飲みながらドライワンタンミーを食べる。中華系の店ならば問題なく酒が飲めるのはKLやマラッカと一緒。飲んだのはカスバの「黒」ことロイヤルスタウト。スタウト特有の甘味が際立っていて東南アジア特有の甘いアイスコーヒー感覚で飲める(アルコールは結構弱め)。
ひと時の異国体験を存分に楽しんで、一路シンガポールに戻ることにする。ジョホールバルからの出国も特に問題なく通過。再びコーズウェイを渡るとまたしてもウッドランズのイミグレーションがお出迎え。ここ最近の新型インフルエンザ騒ぎで入国者はサーモスキャナーに通され、少しでも国内での感染を食い止めようとしている。狭いシンガポールはひとたび蔓延してしまったら取り返しのつかない事態にもなりかねない。実際別件で詳細に調べられる人は結構多かったものの、自分に関しては特に問題なく通過。ただ入国審査で係りのおっさんに「最近メキシコには行ってませんか」などいくつかの質問はされた。ただでさえパスポートにスタンプがいっぱい押されている上に別人のような写真だから怪しまれるのも仕方がない。とりあえず無事に入国できてバスにて市内まで戻る。
午後は再び郊外へ。今後は西部にあるホランドビレッジに向かった。ここは外国人居住者が多いことからオシャレタウンとして知られ、背後には団地が林立し、学校帰りの学生も多く生活観は漂っているものの、魅力的な店が確かに多い。観光客しかいないところはあまり好きではないのでこの雰囲気は大歓迎だ。一通り歩き回ってから適当に入ったバーでギネスを飲む。まだまだ太陽の光は燦々と降り注いでいるが、日陰に入れば涼しい風も入り込んでくる。座り心地のいいソファでその風を楽しみながら最初の1ptを楽しむ。さらにハッピーアワーで一杯サービスということなのでありがたく二杯目もいただく。これだから異国の昼酒はやめられない。
↑分かりにくいですが町の中心部に風車があるホランドビレッジ。オシャレなレストランに混じって「牛角」もありました。
汗も引いたところでいったん宿に戻り、シャワーを浴びて晩飯を食べに行く。
この日の晩飯はクラークキーで食べることにする。聞くと、ここにはブリュワリーパブが2軒もあるというのだ。同じマイクロブリュワーとしてぜひとも飲んでおかねばとまず一軒目の”Brewerkz”で一気に5種類を試す。こういうところは確実に目移りしてしまうので少しずつ4〜5種類飲めるセットがある。すでに12年の実績がありどのビールも味わい深い。すきっ腹にいきなり大量のビールはよくないので前菜代わりにムール貝を注文する。スモールサイズで500g、昨日のサルボ貝に比べればこの程度の量は楽勝だ。
(左)1997年創業の”Brewerkz”全部で15種類近くあるビールからとりあえず4種。どれもうまい!
(右)3年前には無かったクラークキーの”Pump”。全体的に若いビールで酵母の香りが目立ってました。
いい気分で外に出るともう外は夜。2軒目の”Pump”でもセットで注文。こちらは最近できたところなのか味はまだまだ落ち着いてない様子。”味わいは常に同じものとは限りません”の注意書きはいかにも手作り感を強調しているが、リアルエールならまだしも一定の品質を保ってこそいいブリュワリーだと思う。酒造りは一日にして成らず、だな。
ビールもそこそこに、パブ飯の代表、ステーキも注文する。マレー、中華、ムスリムなどの料理でも肉は問題なく食べられるのだが、やっぱりステーキが恋しくなる。ここまでいろいろ食べていたので少し控え目に300gのリブアイステーキ(手加減なしの場合はもちろん1ポンド以上はあるTボーン!)にしたのだが、あっという間に食べ終える。肉もさることながら付け合わせのチップスが今まで食べた中でも5本の指に入るほどうまく、肉そっちのけでまずチップスを平らげてしまった。ビールも肉も堪能した後は腹ごなしにもう少しクラークキーを歩きまわる。3年前に比べて店の数も増えたが、趣向を凝らした店が多くさながらテーマパークのようだ。もう一杯飲みたかったが、さすがに満腹で酒ももう入らないのでそそくさと宿に戻る。朝から歩きっぱなしの一日でやっぱりシャワーを浴びたらそのまま寝てしまった。宵っ張りのシンガポール人が見たらドン引きだろうな〜。で、シンガポールで過ごす夜もこれが最後か・・・
5月6日(水)
深夜の3時に何だかわからない大轟音で目が覚める。大方雷か何かだろうと軽く考え、もう一度布団に入り直して6時に目が覚めるとまた大雨。まあどうせすぐやむだろうと日記を書いていたら本当にやんだうえにすぐに太陽が顔を出し始めた。朝日が街を照らしはじめたら表に出ずにはいられない。まずはチャイナタウンコンプレックスに朝飯を食べに行くことにする。食べたのはクアラルンプールで食べたものよりもあっさりめな肉骨茶と軽くても栄養満点の豚腸粉。最終日だからとにかくいっぱい食べねば。
腹が膨れたところで荷物をまとめ宿をチェックアウトしてからは最終日恒例のお土産さがし。まずはチャイナタウンの「裕華国貨」に行き、自分用の筆といくつかの中華食材を買い、その次は露店でTシャツを物色。そこから電車でリトルインディアまで行き、シンガポール版ドンキホーテともいえる「ムスタファセンター」で今度はインド食材のお買いもの。いざ入ろうとすると入口の警備員に止められた。どうやら大きな鞄は持ち込み禁止のようだ。店内に入ればその理由はすぐに分かった。陳列棚にはぎっしりと商品が詰まっていて、棚自体の数も多く死角だらけなのだ。これでカバン持って入られたら万引きされ放題だろう。ここでの買い物はもちろんスパイス。インスタントから本格的なマサラまでとにかくいっぱいあって目移りしてしまう。それでいて安い!荷物にならない程度に買いこんでお土産さがしは大方終了。レジで精算する時も袋に商品を入れたら丁重にプラスチックのバンドでしめてくれた。これも万引き防止のためなんだろうけどもう少し改善するところはあると思うのだけどなぁ・・・
ここまでで大方のお土産は揃ったけど、そのほか何かいいものがないものかと郊外のショッピングセンターにも足を運んでみた。シンガポールのサッカーリーグのユニホームが欲しかったのだが、さすがに見つからず。シンガポールでも人気のチームはマンチェスター・ユナイテッドとアーセナルだった、
昼飯はその行った先のフードコートでインドネシア風のチキンライス。スパイスの効いた鶏もさることながら、一緒についてきたスープが野菜たっぷりでそれでいて酸っぱくて暑さが吹き飛ぶ味だった。
食べ終えて市内に戻る。ここまで来たところでそろそろ体力の限界が近づいてきたようだ。折からの日差しにもやられつつある。この状況でどうすべきか、答えは簡単。
「この疲れをいやすにはもう冷えたビールしかない!」
毎度おなじみボートキーのイングリッシュパブにてよく冷えたエールを流し込む。観光地のパブとはいえ、ここは居心地がいい。ここで2杯、向かいのアイリッシュパブでストロンボウのサイダーを一杯飲んで体力回復。これで何とか宿に荷物を取りに行くくらいまでは持ちそうだ。
(左)ボート・キーにあるお気に入りのイングリッシュパブ”Penny Black”。
(右)その裏手にあるこちらはアイリッシュパブ”Molly Malone’s”。
最後の晩飯もホーカーで。ゆでた鶏モツに始まりオイスターオムレツ、ガツスープ、エビ入りホッケンミーと食べまくってようやく宿に到着。買ってきたお土産をかばんに詰めてさあ出発、の前に隣のバーでシンガポール最後の酒を楽しむことにした。
前衛的なデザイナーズホテルのバーだけあって出てくるカクテルも斬新だ。そんな中頼んだのはダークラム、ドライジン、コアントローを混ぜたうえにバナナアイスを浮かべたもので、これがまた暑さと汗で溶けかかった体を引き締めるだけでなく、バナナアイスの甘さもあって満腹の体に優しく入り込んでくる。この一日の疲れが一気に吹き飛んだ。
やさしい夜風に包まれ満月のやわらかい光に照らされて至福の一杯を飲み終え、一路電車でチャンギ空港へ向かった。
到着の時もだいぶ驚いたが、チャンギ空港のターミナル3はとにかく広い!狭いシンガポールの中でこれだけ開放感のある建物を造ってしまうのは感心してしまうが、ここまでへとへとになっている体にはこれはこれでかなりつらい。手荷物検査は乗る直前なので軽く出国を済ませて免税店でお決まりのマーライオンのチョコを買ったらあとは再び巨大なA380が待っている。搭乗時間ぎりぎりに乗り込んだ後は一路東京へひとっ飛び。最新鋭の翼に身を預け夢の中へ落ちた。