IAN-Gの無謀旅日記〜ウラジオストク編〜
期間 2017年9月21日〜2017年9月24日
(行ってきた人、文、写真=IAN-G 同行者=かみさん)
↑ウラジオストク駅のキロポスト。この線路の9288km先にモスクワがあります。
9月21日(木)
普段と同じ9時に起きる。飛行機は午後の3時だが、時間に余裕を持って優雅に行きたいので10時過ぎには家を出る。最近はすっかり羽田の方をメインに利用するようになり、今回は久しぶりの成田出発だ。まずは成田までの移動だが、リムジンバスでも、成田エクスプレスでもなく、都営浅草線から北総線直通のエアポート快速を使うことにした。家から最寄りの浅草線の駅である東日本橋駅までは二駅。本数は少ないが、時間を見て行けば問題ない。乗車するとスーツケースを持った人たちがたくさん。京成線で成田空港に行くと、途中の停車駅も多く体感時間は長めだが、北総線から行くと止まる駅が少ないからかサクサク進むし短く感じる。実際乗っている時間は1時間ほどで空港まで到着。朝の急いでいる時間はともかく時間に余裕があるなら十分選択肢に入る便利さだった。
平日の、それもピークを超えた空港は非常に閑散としている。いつも年末やGWなどハイシーズンの朝という一番混雑する時間帯にしか利用しない身には非常に新鮮に映るほどだ。チェックインカウンターはまだ開いていないので、空港内をブラブラ。昼ごはんを食べ終えた頃にようやくチェックインが開始。すでにオンラインで済ませてあるので荷物を預けるだけ。並んでいる人たちは・・・圧倒的に日本人のお年寄が多い。しかし、周囲の話を聴いているとどの人たちも結構な数の国を制覇しているようだ。ウラジオストクはそういう人たちの最後のフロンティアなのかもしれない。
出国の際の手荷物検査もパスポートコントロールも全く並ぶことなくすぐに通ることができ、コーヒーブレイクの時間を挟んで搭乗口のあるサテライトへ。それも87番ゲートと端っこの端っこ、一番遠いところなのだ。そういえばチェックインカウンターもやっぱりRカウンターと端っこの端っこだったな。
ロシア第2のキャリアであるS7航空の機体はA320。日本の空港から外国行くのにナローボディ機に乗るのなんて初めてだ。コーポレートカラーの黄緑色に塗られた機体がなんともポップ。機内に入ってもCAのオネーサンの制服は水色だし、機内食のサンドイッチの包装も紙コップもデザインが行き届いていてまるで北欧の航空会社のようだ。同じロシアでもアエロフロートが持つ"ソ連"感は微塵も感じられない。
↑成田から週4便のS7航空。機内食のサンドイッチのパッケージもわかりやすい上ににオシャレ。
しばらくボーッとしていたらすぐに着陸態勢になり、息つく暇もなくウラジオストク空港に着陸した。
外はまだ明るいが時間は午後の7時。なんでか知らんが、ウラジオストクは日本よりも時差が1時間早いのだ。ボーディングブリッジを出て建物に入るとすぐにパスポートコントロール。何人かビジネスマン風の怪しい人は長い時間かかるが普通の観光客然とした人は一定の間隔で入国して行く。印刷された入国書類にサインするだけで晴れてロシアに入国完了。そのすぐ下がラゲッジクレイム。すでに荷物の大半は出ていたが、この荷物が出てくるコンベアがとにかく速い。年配の方々はここで荷物を拾うだけで難儀している。もう少し考えたらどうだい?
↑ガラス張りのウラジオストク空港。夏で晴れているときれいですが冬はどうなることやら。
荷物を手に入れ、出てくるとすぐにロシア人のアンチャンが我々の名前が書かれた紙を持って立っている。空港からの移動手段が貧弱なので今回は旅行会社経由で送迎をお願いしたのだ。バウチャーを見せ、すぐに車に案内される。日本から輸入した中古車が多いとは聞いていたが、その例に漏れず右ハンドルのトヨタだ。ウラジオストク市内までいざ出発。1時間ほどの道中だが渋滞はなく快調に進む。途中のドライブイン的な飲食店やガソリンスタンド、車のディーラーにショッピングセンター、どれも魅力的である。全く理解不能なキリル文字、これがロシアをミステリアスにしていて異国情緒をかき立ててくれる。徐々に車のスピードが落ちてきたかと思ったらウラジオストク市内に到着。
渋滞をかき分け、目抜き通りのスヴェトランスカヤ通りにある今回の宿ヴェルサイユホテルに着いた。歴史がありそうな外観の建物で期待が膨らむ。ただし、色々な所が大柄なロシア人仕様で、広々としていいのだが、レセプションのカウンターなんかも異常に高く公称150cmのカミさんの目線あたり、書類にサインするだけでも一苦労だ。部屋はなかなかの広さで最上階ということもあり天井も高くゆったりとしているがベッドは少し小さめ。ここだけアジア人仕様にしなくてもいいのに。テレビは久しぶりに見るブラウン管型で冷蔵庫も見なくなって久しくなったナショナル製。設備は古めかしいが不自由はしない。
荷物を置いて晩飯に繰り出す。この時点ですでに夜の9時。周囲の商店はほとんどが店じまいだが、多くの飲食店は12時ごろまでやっているのでこの時間でもゆったり飯が食える。ウラジオストク最初の飯は宿の近くの中央アジア料理の店、「フローパク」。この地域の料理は自分もかみさんも好きで、自分でも作るくらいなのでロシアに来て最初の料理には最適だ。頼んだのは馬肉のドライソーセージ、ウズベク風トマトサラダ、ラムのシャシリク、ピラウ、そしてマンティと中央アジアを堪能できる料理を一揃い。どれも美味しく、さらに自分たちで作る味とも思ったより遠くなく実に参考にもなった。これで自信を持って友人らに出せるというものだ。酒は飛行機に乗って喉も渇いていたのでまずはビール。残念ながらハイネケンだったが異国で飲むビールはやっぱり格別。さらにはロシアということでウォッカにも初日から挑戦。キリッと冷えていてクイっといけてしまう。初日から大当たりの飯屋に出逢えて大満足で宿に帰る。本格的な観光は明日から。今日はゆっくりと旅の疲れを落とすことにしよう
↑中央アジア料理の店「フローパク」。外からでは想像がつかないほど店内は広かったです。水たばこもできるようです。
9月22日(金)
空が明るくなり始める7時ごろ目がさめる。テレビをつけて今日の天気などを確認してから朝飯。宿泊料金にも含まれているので、今回はおとなしく宿の朝飯をいただく。ハムにチーズ、ベーコン、ソーセージなどおきまりのメンバーに加えクレープもあってこれがなかなかにいける。飯を食べたら早速行動開始。
↑朝のアドミナラ・フォーキナ通り。この先は海です。
カミさんが 真っ先に行きたいと言っていた町外れの缶詰屋が他より早く開店するので街をぶらぶら歩きつつ向かうことにする。もともとあまり商店の多くないウラジオストクだが、少し中心部から離れるとすぐに住宅地になり歩道も狭くなり閑散としている。点在するスーパー、カフェ、キオスクなどを過ぎてようやく目的の缶詰屋に到着。カムチャツカ産のサーモンにニシンなどカラフルな缶詰がメインだが、干物や燻製、オイル漬けなど海産物加工品なら大抵ものものが揃う。ネットで見つけた画像を見せてなんとか希望のサーモン、イワシハンバーグのトマト煮、そしていくらの缶詰をゲット。しかも結構な量を買ったからか少々勉強もしていただいた。早起きは三文の得とはよく言ったものだ。
↑缶詰屋「マガジン・モレプラドゥクトィ」。店の人がとても親切でした。韓国のり等日本、韓国の海産物も売っていました。
大量の缶詰を持って市内中心部へ戻る。街の中心部は大通り2、3本程度でそれほど広くなくちょっと迷うと同じところをグルグル回るだけになる。海や銅像などのランドマークを頼りに目的の通りを探しながら歩く。坂道の街なので見晴らしはよく遠くの目標物も見つけやすい。一番の大通りであるスヴェトランスカヤ通りに出る。ここの中央広場には週末になると市が立つという事前情報だったが。今週末はウラジオストクの祭日である「虎の日」ということで特設ステージが作られていて市場は出ていなかった。週末にはここでコンサートも行われるらしい。広場の一角では中国、韓国からの団体ツアーの集団が記念撮影大会をしている。ガイドのロシア人も流暢な中国語や韓国語で案内している。この後ツアー集団にはさらに頻繁に遭遇することになる。
↑中央広場に作られた「虎の日」イベント用の特設ステージ。どうやら右の写真のバンドのライブがあったようです。
いったん宿に荷物を置き今度はウラジオストク駅の方向へ。金角湾の遊覧船に乗りたかったのでその乗り場に向かったら。待てど暮らせどチケット売り場が開かない。乗り場の係員に聞き人のいるチケット売り場に案内されるも。「二枚ください」と言った瞬間に売り場のオバハンに全力で拒否される。もう少し物腰の柔らかいインフォメーションデスクのおねーさんに聞くとやはり建物の外の売り場で買ってくださいと言われるが次の乗船時間が近づいているというのにやっぱり開かない。その間にも観光バスで乗り付けて来た中国人ツアー客はどんどん乗り場に向かっていく。しかもその人数も大型バス4、5台分、しかもバスからは明らかに定員以上の人が降りてくる。この人数が一気に乗ったら下手したら船が沈みかねないほどなのだ。結局これはすでにチケットは完売なのだろうということにして遊覧船は諦めることにする。一緒に沈没なんてまっぴらだ。自分たち以外にもチケット売り場が開かずに呆然としていた個人旅行者が結構いた。
気を取り直して客船ターミナルの店を冷やかしてからウラジオストク駅のプラットホームに降り立つ。言わずと知れたシベリア鉄道の終着駅であるここにはモスクワからの距離を示すキロポストが威厳を持って立っている。その距離9288km。ここもさっきまでは中国人観光客で一杯だったが改めて向かうと他に人は誰もおらず撮影し放題。いつかここからシベリア鉄道でモスクワ、いやさらに列車を乗り継いでロンドンあたりまで行ってみたいものである。
(左)ウラジオストク駅駅舎内。入るのに手荷物検査がありましたがあって無きがごとしのゆるさ。
(右)キロポストがあるホームに展示されている蒸気機関車。昔はこれが走っていたんですかねぇ?
ウラジオストク駅を後にしたらちょうどお昼。旧ソ連の趣を残す大衆食堂スタローバヤの店「リパブリック」で昼飯にする。お盆を持って並び冷菜は自分で好きなものを取り、メインは店員さんに指差しでお願いすればいいだけ。たくさん頼むと笑顔でサムズアップしてくれる。ディルたっぷりの冷製スープと豚肉の揚げ煮、カレー風味のピラウをのせてもらい450ルーブル。ボリュームも十分で値段も東京のランチほどのお値段。そして嬉しいのが、周りはみんなロシア人。外の中国語の喧騒から離れて落ち着いて過ごせた。味もなかなか良く満足して観光再開。
↑スタローバヤでランチ。一人旅でもここに来ればいろいろな種類の料理が楽しめます。値段もリーズナブル。
駅から少し歩いたところにあるアルセーニエフの家記念館に向かう。舗装がひび割れた荒れた道の先に立派な胸像と立派な建物があっていざ入ろうと入り口に行くと本来展示物がある空間ががらんどうで明らかに工事中なのだ。外観は普段と変わらないし、玄関先にはちゃんと案内板もあるのに工事中。またしてもしてやられた。
↑仕方がないのでアルセーニエフの家記念館をねぐらにしているらしい猫でもどうぞ。
意気消沈してしまったので気を取り直して駅の近くまで戻りスーパーでショッピングとしゃれこむことにする。日本ではあまり手に入らない蕎麦の実、そば粉入りパスタ、シャシリク味のクリスプス、ひまわりの種とお土産を買い揃えて行く。やたらビールもあって、ロシアビールを物色。飲食店では外国のものが多くてロシアのものは遭遇する機会があまりなく、ここぞとばかりにキリル文字の書いてあるビールを選んで行く。ロシアらしく熊が描かれているラベルが多い。今回はウォッカも買いたいので少々少なめに。で、品物をレジに持って行くのだが、レジ係のおねーさんは少しでもまごつくと大声でまくし立ててくるし金数えるのも面倒くさそうだし、クレジットカードで払おうものなら怒りのあまりカード割ってしまうのではないかというくらい不機嫌なのだ。こちらが萎縮してしまう。
それでもなんとか買い物は終了し、またしても荷物を宿に置き今度はスポーツ湾の方へ。雲が多いが青空だし風も気持ちいい。海の色は少々鉛色だけど。ここには魚市場もあるのだが、さすがに時間も遅いし何もなかった。ひとしきり海沿いを散歩してそこかしこにあるアイス屋台で休憩。ここでも注文や支払いにまごつくと怒られる。数ある種類の中からネタにもなるし、と真っ青なバブルガムを選ぶ。酸味のないラムネ味にマシュマロが混ぜ込まれているという、まあ、子供騙しだな。甘ったるく口の中が全くサッパリしない。ま、これもチャレンジということで。たまにはハズレも引くさ。
↑スポーツ湾の海岸通り。アイス屋台とお土産屋と安っぽい体験型アトラクションがいっぱい。
ここからは明日に向けての下準備。ルースキー島に行きたいのでそこまで行くバスの乗り場を確認。事前の情報ではクローバーハウスの近くということで向かったがろくにロシア語もわからない中で路線バスの乗り場探しは骨が折れる。あまりに手がかりが少なすぎて結局スマホに頼ってしまった。"Vladivostok
bus ** route"で検索したら詳細な情報が出てきた。すごいや現代文明。乗り場は一本隣の大通りであるオケアンスキー通りにあるとのこと。乗り場も実際に見て準備は万全。本当に来るかはまだ怪しいけど。
まだまだアクティブに動く。宿の近くにある沿海州博物館でこの地方の開拓の歴史をしばしお勉強。中でも先住民族の生活道具の展示が秀逸でかみさんはここが大いに気に入ったようだ。陸続きなので当然なのだが中国の影響も強く発掘された石碑やお墓には漢字が刻まれているものも。こんな辺境にもしっかりと人の歴史は存在していた。
↑ここが噂の「グム裏」プチ撮影会をしているグループも多く、そこかしこでヒイヒイ言っていました。
スヴェトランスカヤ通りをグム百貨店まで行きインスタ女子がヒイヒイ言っているオシャレスポット、グム裏通りを覗いたあたりで日も暮れてきたので晩飯にする。
今日も事前に当たりをつけておいてある。ヒュンダイホテルの近くにあるシーフード料理の店、「パラウ・フィッシュ」。ここは英語のウェブサイトがあってそこでメニューも見られたことから早くから候補に挙がっていたのだ。決め手となったのはやはり、生カキ。イクラ乗せやスイートチリソースかけ、マンゴーときゅうり、パッションフルーツソースなど1ダース全て違う味付けがされた盛り合わせを頼む。今シーズン初めての生カキ。ああ、幸せ。メインはロシアらしくチョウザメのソテー。身の締りが良く、脂の少ないホッケのような感じだった。カミさんはカレイと鮭の唐揚げ盛合せ。ソースに日本のだしの味が効いていてなかなか面白かった。他にもこの店寿司に刺身、味噌汁もあって和食もいけるらしい。もう少しいろいろ食べたかったなぁ。酒は昨日に引き続きビール2杯とウォッカを1ショット。宿までの帰り道は酔い覚ましにちょうどいい。
↑生カキだけではないのですよ。今回はホタテも生で。しかもこちらも全部味付けが違います。
10時過ぎに宿に着きベッドで大の字になる。もう少し飲みたかったが、飲食店以外では10時を過ぎるとアルコールの販売をしないらしく、シャワーでサッパリした後にスプライトでさらにサッパリ。実に長い1日が終わった。
9月23日(土)
今日も7時に元気よく起床。昨晩は雨の予報だったが、気持ちよく晴れている。朝食もそこそこに早速昨日確認したオケアンスキー通りのバス乗り場へ向かう。ルースキー島に行くバスは15番と29d番。ちょうど15番のバスが止まっていたので乗り込む。ルースキー島に行くバスも行き先はいくつか分かれていて、この15番の終点は沿海州水族館。29d番に乗るともっと島内の奥の方に行くらしい。本数は15番の方が10分間隔と多い。
↑オケアンスキー通りのこのブロックのバス停からルースキー島行きのバスは発車します。15番に乗れば沿海州水族館までは乗りっぱなしでOK。
市内中心部をグルグルと回りながら進み、しばらくすると黄金橋の上。快調にルースキー島に行けると思ったが、途中のバス停で全員降りるように命令される。どこかもわからないところにいきなり放り出すとはひどいものだと思っているうちに後続のバスがやってきた。今度は63番、バンを改造したミニバスだ。カミさんがルースキー島に行くかと聞いたら行くとのことで乗り込む。後で確認するとオケアンスキー通りのターミナルから沿海州水族館までは15番と同じルートを通るようだ。さっきまでは大型のバスに乗っていた客が半分以下のキャパのミニバスに乗るもんだから車内はぎゅうぎゅう詰め。窓の外の風景を楽しむ余裕もない。
しばらくするとルースキー橋を通りルースキー島に入った。極東連邦大学前で半分くらいの乗客が降りて目指すは終点の沿海州水族館なのだが、どうもこれからマラソン大会があるらしく反対側の道路が通行止めされている。水族館まで続く道も閉鎖されていて、手前のバス停で降ろされる。バスの運転手に「ここをまっすぐ行けば水族館だよ」、と言われテクテクと歩いて行く。途中で水族館構内を行くシャトルバスに乗ることができてようやく到着。週末ということもあり家族連れで賑わっている。気になる中国人観光客の集団はなし。これは素晴らしい。チケットは1000ルーブル。約2,000円だからまあまあの値段だな。
↑沿海州水族館。建物の大きさの割に入り口がかなり小さいです。寒さ対策ですかねぇ。
展示の前半は生命の進化の歴史をたどっていて水族館というより上野の科学博物館に近い感じ。古代生物の再現模型などもあってみんな記念撮影に余念がない。
半分ほど過ぎたところでイルカのショーが始まると言われて案内されるまま進むとそこは大きなプール。ほどなくしてイルカが登場。ショーの進行はもちろんロシア語なのでブラボーとスパシーバしかわからないが見事な芸を披露してくれる。他にもアシカとシロイルカのショーも楽しんで展示に戻る。イルカショーなんて何十年ぶりだろう?
後半になると徐々に展示の水槽が大きくなり、まずは沿海州周辺の生き物などが登場し始める。さらに進むと熱帯の魚に始まりクラゲにサメやエイなどが登場し最後には水槽に囲まれたトンネルへ。日本のようなゆるりと水を眺め、水に囲まれる感じを味わえる水族館とは趣は違うが非常に見応えのある展示だった。ちなみに説明書きはロシア語と英語と簡体中国語。
↑中に入れば熱帯ゾーンも水のトンネルも。博物館と水族館を一度に楽しめるおいしいスポットです。中国人も今ならほとんどいませんよ。
水族館を出ると周辺はハイキングコースになっている。海も近く緑も豊富。加えて今日は雲ひとつない快晴。歩いていて実に気持ちがいい。ひととき都会の喧騒を忘れる。
↑ルースキー島の大自然。青と緑が突き抜ける美しさ。この自然を保ちつつ発展してもらいたいもんです。
昼頃にはウラジオストクに帰るべくバス停に向かう。行きと同じ63番のミニバスがやってきた。行きの時と同じターミナルに止まるかと聞いたら止まるということなので乗り込む。動き出しはまずまずだったが、ルースキー橋に近づいたところで車の流れがピタッと止まってしまった。普通の渋滞ならノロノロでも進んで行くもなのだが全く動かない。車から降りてのんびりタバコを吸うドライバーも。20分ほど待ったところでようやく動き出した。
しかし快調に進んだのはルースキー橋を渡り終えるまで。今度は本当に大渋滞。トロトロとしか進まない。よく目を凝らして先の方を見てみるとパトカーがわざとゆっくり走って車の列を先導している。一体何のために、と思ったが、道路脇では長テーブルと水のペットボトルを大急ぎで片付ける人たち。朝ルースキー島からスタートしたマラソン大会に追いつかないようにしていたのだ。黄金橋を渡りきったところでようやく先導は離れ後は普通のスピードで行きと同じオケアンスキー通りのターミナルに着いた。この時点で午後の2時半。ずいぶんかかってしまった。
↑ウラジオストクのバス停。左から系統、行先、時間(平日、土曜、日曜。何分おきに来るか)値段です。
後乗り前降りで降りるときに料金を払います。ちゃんとお釣りを用意しているので札を出してもOK。
腹も減ったので昼飯にする。宿のはす向かいにあるペリメニカフェ「ローシキプローシキ」に入る。自分もかみさんもロシア料理ではこのペリメニを最も食べてみたかったのだ。非常に明るいうえにロシアらしからぬポップな内装でオシャレ女子だけでなく、家族連れやゲイカップルにも人気のようだ。頼んだのはラムのペリメニと子牛のペリメニ。さらにビールも頼んだのでつまみにニシンのマリネも。まずやって来たこのニシンが脂が乗っていてうまい。ビールがいい具合に進んで行く。メインのペリメニは一口サイズで食べやすい。餡に味付けしてあるのでタレは使わずスメタナだけをつけていただく。この組み合わせが予想外にいけるのだ。
↑「ローシキプローシキ」の店内。カラフルなキッチン道具のディスプレイが目を引きます。ペリメニは軽食ですがその他のメニューも充実。
その後は昨日に引き続きショッピング。まずはミリタリーショップでTシャツを手に入れ、次は伝統工芸品のおみやげ屋でリクエストのあったマトリョーシカを買う。オーソドックスな女の子の絵柄とこれは外せないということでロシアの歴代国家元首の柄を購入。プーチン、エリツィン、ゴルバチョフと続きブレジネフからフルシチョフは飛ばされて次はスターリンで最後はレーニン。マトリョーシカは手のかかる工芸品のようで小さめの安いものは400ルーブルくらいで買えるが、本気のものは7000ルーブルくらいのものもある。高いものは中の人形の数も多いようだ。
↑ロシア歴代最高指導者のマトリョーシカ。帰国してから撮りました。江東区森下の某煮込みのおいしい飲み屋の新館の方に飾られているそうですよ。
その後はクローバーハウスの地下食品売り場へ。カミさんはお茶とお菓子、自分はここでようやくウォッカを手に入れた。これで大方のおみやげは揃った。
アドミナラフォーキナ通りにあるスタバっぽいコーヒー屋「パイレーツコーヒー」で少し休憩。珍しくアイスコーヒーがあるので注文するとミルクにしますか、ジュースにしますかときかれる。なんと、ウラジオストクではアイスコーヒーにオレンジジュースを加えるのか。そこまで冒険はできないのでおとなしくミルクにする。底にシロップがたまっていてこれがまた頭が痛くなるほど甘い。混ぜないで上澄みだけを飲んで行く。こうすればお馴染みのものに近い。この通りは車の通行が制限されているし噴水もあるしでのんびりと座って過ごす人が多い。ストリートパフォーマーもいて楽しい。
(左)パイレーツコーヒー。この絵を見るとどうしてもワンダーウーマンを思い出してしまう。
(右)夕刻のアドミナラ・フォーキナ通り。路上ライブをしていた人たちも帰り支度。
宿に荷物を置いたらもう7時近くなので晩飯に向かうことにする。今日はグム百貨店の先にあるロシア料理の店に行こうとしたのだが残念ながら貸切りで入れなかった。代替案を全く用意していなかったので急いでネットで店を調べる。候補に上がったのはプリモーリエホテルの先のジョージア料理の店。ここはビルの三階にある店なので分かりづらいのだが、建物の入り口に看板も何もなくそれどころか建物の玄関が暗いまま。
ここも開いていないと見切りをつけて最後の候補であるディナモスタジアムの近くにある「ベーリーバラシカ」に向かう。ここも分かりにくい立地だったがすぐに見つかりようやくここに落ち着く。飯屋を探してたくさん歩いたので腹も減ったし喉もビールを流し込むのにいい乾き具合だ。
↑「ベーリーバラシカ」はこの真っ暗な入り口を入った奥。外からは想像がつかないほど中は暗いです。
初日に続き図らずも中央アジア料理になったが、ここは最初からフローパクとどちらに行こうかと迷ったところなので実は両方行けてラッキーでもあったりする。つまみに牛タンの冷菜、シャシリクは今回は子牛肉、ピラウはドライフルーツたっぷりのアゼルバイジャン風にして、さらに野菜のドルマ、そしてロシアに来たらやっぱりこれは外せないとボルシチを注文。色は鮮やかだが味は極めて素朴な優しいスープだ。これにもスメタナがよく合う。海沿いにあって海産物も楽しめる上に大陸の料理もおいしいウラジオストクは食い道楽には嬉しい街だ。
大変満足して宿に帰る。今日もいい気分でベッドに大の字になりたいところだが、明日のために先に荷物をまとめておく。密度の濃い二日間は無事に終わりそうだ。
9月24日(日)
最終日。今日はもう帰るだけ。例によって8時すぐに朝飯を食べに食堂に行くと見事に満席。違うのは日本人ばっかりではなくロシア人ばっかりだということ。この週末にやってきた人たちだろうか。どうせしばらくしたらこの混雑もすぐ引けるだろうし、最後に海を見に行く。朝日がキラキラと光って気持ちがいい。中にはもうこの時間から営業を始めているアイス屋台も。
↑朝のスポーツ湾でかみさんと影でツーショット。
しばらくして宿に戻り食堂に行くと今度はさっきの混雑が嘘のように誰もいない。こりゃ静かでいいやとゆっくりと食べる。カミさんは疲れが胃にきているようでパンを一枚食べただけ。
9時半ごろには荷物をまとめてチェックアウト。お迎えの車を待つ。10時に来る予定だったが予想外に早くきてくれていざ空港へ。最後に車越しにウラジオストクの街を見て行く。行きの時は真っ暗だった道も明るいうちだと趣が全く違う。渋滞に巻き込まれることもなく10時半には空港に着いてしまった。カミさんが道中効いていたエアコンにやられてさらに弱ってしまい、ベンチで待機。その間空港内をぶらぶら歩く。工芸品に海産物など市内で買えなくてもここで大方のおみやげは揃いそうだ。冷凍のカニなんかも売っていて、ここで買って日本に持ち帰れば家に着く頃にはいい具合に解凍できてそうだ。
(左)ウラジオストク空港の海産物みやげ屋。カニ、エビ、いくらだけでなく、チョウザメのキャビアもありました。
(右)出国ゲート前にあるロイズ。「ロイズはロシアのブランドだ!」と声を荒げるロシア人もいるとかいないとか。
11時半にチェックインが始まりどこからともなく日本人がわらわらと集まってきた。荷物を預けて出国。入国同様時間のかかるイミグレーションを抜けてあとは出発待ち。
国際線のゲートはたった3つだけというなんともこぢんまりとした待合室には小さいがしっかり免税店もある。外の飛行機もよく見えてこれから乗るs7のA320のほか、アエロフロートのA330の姿もあったが、残念ながらエアーコリョは見られずじまい。搭乗時間になり扉が閉まると離陸の順番待ちなんてわずらわしいものはなく勢いよく飛び立った。
↑後で調べたらエアーコリョ、ピョンヤン→ウラジオストクJS271便は月、金の週2便。ウラジオストクには11時につ着くそうです。ご参考までに。