IAN-Gの無謀旅日記〜香港編、その6〜

期間 2017年8月14日〜2017年8月16日
(行ってきた人、文、写真=IAN-G 同行者=いません)

↑こんな蒸し暑い中でも地元の人たちは活動的。やっぱり慣れなんでしょうかねぇ?


8月14日(月)
 この数ヶ月、休みの日でも早起きしなければいけないことが多く今朝も5時半に起きるのは難しくなかった。そのために昨日は11時前には寝てしまったが。昨日もカミさんと朝から群馬に蛇を見に行ったばかり。今年の夏はかなりアクティブだ。6時には家を出る。お盆休み期間でも一応平日なので大江戸線もこの時間から結構な人だが、それ以上に浜松町についてからのモノレールの駅の人の多さは今までで一番。乗ったらすぐに動き出して 7時前には羽田に到着。チェックインは済んでいるので荷物だけ預けてさっさと出国。早速ビールを飲みながら登場時間を待つ。ANAの機材はB787-8。予約の段階では最新の787-9だったので少々ダウングレードだが、乗ってしまえば快適である。家族連れや観光客も多いが、スーツ姿のビジメスマン風の人も結構な割合いる。やっぱり平日なんだなぁ。順調に離陸した後は機内食を食べて一眠りしたらもう着陸態勢。体感時間は短めで香港に到着した。

↑そういえば8月にベトナムに行ったときに香港で乗り継いだのですが、こんな感じの空でした。

 イミグレーションがスムーズにいきすぎて荷物を拾うまで少々待ったが機場快線のチケットを手に入れ香港駅経由で湾仔へ。今回の宿は「Kew Green hotel wanchai」 これまで2度使ったことのある「Metropark hotel wanchai」が名前が変わり、シティホテルから少々オシャレ感が増した感じになっていた。部屋は相変わらずシンプルだが、現代的にリノベーションされている。嬉しいのがUSBポートが用意されていること。しかも机にもベッド横にもあってスマホとタブレットを使い放題だ。こういうところではデジタルデトックスなんてやっぱり無理。現代文明の恩恵を受けなければ。ちょっと残念なのはせっかくエミレーツのオフィシャルストアで買ったトラベル用電源タップの出る幕が無かったことかな。

 で、早速旅の疲れを落とし街に出る。暑い。暑すぎる。気温は33度と東京と同じくらいだが湿度はなんと80パーセント以上。サウナにいるようなジメジメとした暑さだ。日本より緯度も下だからこんなに高層ビルが林立していても太陽がほぼ真上だから影もろくにできない。行く所行く所直射日光が降り注ぐ。タオルも最初は腰からぶら下げて行ったがすぐに無駄だとわかり首からかけるスタイルに変更。湾仔の街をしばし歩くがもうこれだけで汗びっしょり。そして湿気がすごいからなかなか汗が乾かない。これはもうバンコクやシンガポールと同じと言っていい。どうやらなかなか手強い時期に香港に来てしまったようだ。
 
 そんな中まず昼飯と向かったのはローストで有名な「再興焼臘店」。ローストは香港ではファーストフードだから人気の高い店でも席が空くのが早い。店のおっさんはすぐ注文を聞きにくるし、注文すると本当にすぐ出てくる。豚、鶏、鴨の三点盛りご飯が40ドルという安さも魅力的。扇風機のすぐ下の席で風に吹かれながら平らげ今日は九龍の方に行く。

↑あのアンソニー・ボーデインも食べていた再興のロースト。こういうのが気軽に食べれるのが香港のいいところ。

 殺人的な暑さだが空は今まできた中で一番キレイだ。ここ数年訪れてきた5月なんて雨季だからスッキリしない空ばかりだったからこんなに空が綺麗な香港はもしかしたら初めてかもしれない。ならば香港島と九龍の間を行き交うには地下鉄はもったいない。スターフェリーで行くことにする。湾仔に宿を取ることが多いのに湾仔のフェリー乗り場からスターフェリーに乗るのはこれが初めて。常に観光客で賑わう中環と比べこちらの方が落ち着きがある。海風に吹かれしばし暑さを忘れ尖沙咀へ。

 次の目的地は新界、元朗なので尖東駅から西鉄線に乗り込む。電車の中は一息つける涼しさで揺られること20分で到着。元烽ニくれば目的の一つは軽鉄ウォッチング。元朗市街地まで乗ってそこからはカメラに収めて行く。ひっきりなしに電車がやってくるので嬉しいのだが、その分降りる人も多く写真を撮るのにいい場所を確保するのが難しい。写真だけでなく今回は動画も撮って大満足。

↑路面電車というのはやはり絵になります。新型車両も配備されていてさらに楽しめました。

 軽鉄撮影の合間に街を探検。新界最深部の繁華街だけあって現代的なショッピングセンターもあって時折涼みながら昔ながらの街並みを探検する。路上に風呂敷を広げて野菜を売る露天商のおばちゃんや公共のスペースにたむろするランニング姿、もしくは上半身裸のオッさんたち。なかなか中心部では見られない光景だ。一休みは前回来た時に目ざとく見つけておいた蛇屋「蛇王倫」で蛇羹。昨日もマムシの蒲焼を食べているので蛇はこれで2日連続だ。この暑さに打ち勝つにはやっぱりこれしかない。その後も軽鉄通り周辺をくまなく歩いて5時前には元朗を後にする。

↑非常にオープンで生活感に満ちている元朗。これぐらいのユルさが街歩きにはちょうどいいのです。

 日没まではまだ時間があるのでせっかくだからビクトリアハーバーの風景を見ておこうと尖沙咀にとんぼ返り。残念ながらアベニューオブスターズが改修中でフェリーターミナル近くまで行かなくてはいけないが、思った通りキレイな青空の景色で、暑い中ヒイヒイ言いながら来たがこういうギフトもあるということだ。

↑写真は下手ですが、対岸がはっきり見えるヴィクトリアハーバーは初めてですね。

 日が傾き始めて来たのでそろそろ晩飯の時間。今回も事前にいくつかの店にあたりをつけておいた。
向かったのは深水歩の太子寄りにある清真料理の店「馬家荘清真館」からスタート。前回来た時に清真料理というものを初めて体験してその後にドバイでイスラムの料理にもだいぶ触れたのでやっぱり興味を惹かれる。ここでは羊肉の餃子、焼きと茹で2種類を注文。ウイグルのイメージがあるからか清真料理というと北のもの、つまりは粉食文化のイメージが湧いたわけで餃子にしたのだ。炒め物とかもあるのだが、ハラールであること以外はまあまあ普通の中華なのでここではパス。酒はないかな、と思いきや この店には意外なことにビールもあった。イスラム料理の店で餃子をつまみにビールを飲むとは随分罰当たりだがおいてあるのだから仕方がない。思えば香港で餃子食べるのも初めてかも。餡にしっかりと味が付いていてそのままでうまい。一人飯で長居は禁物なので食べたらすぐに出る。

↑皮が厚く、餡もたっぷりで食べがいのある水餃子。「インスタ映えしない」とあっさり斬られそうですが・・・

 次は太子まで足を伸ばし潮州料理の店「徳發潮州飯店」へ。ここでの目的は鹵水。広東名物ローストは飯のおかずだが、この潮州名物鹵水は酒のつまみにぴったりなのだ。さすがに一品は悪いから二種類くらい頼もうかと思ったらお店の人の方から盛り合わせを勧めてくれたのでそれに決定。一人で食べるには充分なボリュームでとにかくビールに合う。調理場近くの小さなテーブルで奥の丸テーブルの喧騒をBGMにしみじみと食べる。

↑オレンジ色のイカが意外とカラフルな鹵水の盛り合わせ。さわやかなパクチーが口直しにいいのです

 この二軒で結構腹は膨れたので後は締めだけということにして腹ごなしも兼ねて旺角をブラブラ。そのまま油麻地に出て気づいたら男人街に来てしまったので冷やかしながら歩いたら結局佐敦まで歩いてしまった。もののついでに裕華国貨をのぞいたらいつものテーマソングがかかっておらずそのせいなのか店員さんもちょっとけだるげだった。帰りもスターフェリーがいいかな、とも思ったが、流石に疲れたので地下鉄で湾仔に帰る。

↑外国でもないと夜の繁華街なんて行かないのですよ。せいぜい錦糸町どまり。

 締めは宿近くの「永華麺家」で雲呑麺。ちょくちょく利用している店で昔ながらの竹で伸ばす麺がとにかくうまい。これでちょうど腹一杯に。駱克道のバーでもう一杯飲み直ししてから宿に到着。エアコンのガンガン効いた部屋でシャワーを浴び、ベッドに大の字になったらまさに天国。そのまま寝てしまうことにした。ああ疲れた。
8月15日(火)
 朝の6時前には目がさめる。テレビをつけてまずは今日の天気を確認。いうまでもなく酷暑の1日になるということだ。日記を書いてシャワーを浴びてから朝飯を食べに外へ出る。朝の涼しい時間にこなしておきたいと思ったが朝から湿度はマックス。エアコンの効いた部屋に置いていたカメラのレンズが曇るくらいの温度湿度だ。幸い太陽がまだ低いのでトラムに乗ってしまえば風は気持ちがいい。

↑どれくらい曇ったかというとこれくらい。

 中環について毎度お馴染みの「蓮香楼」で朝飲茶だ。飲茶の店なんて一人ではなかなか…何て思って行かずにいたが、初めてこの店にカミさんと入った時一人で朝の時間をゆっくりと過ごしている人がたくさんいたのでこれなら大丈夫だろうと確信し、満を持して今回初の一人飲茶となった。お茶を飲みながら点心を食べるのはゆっくりと自分のペースで、しかもおあつらえ向きに店の前でフリーの新聞を配っているのでそれを読みながら過ごせば気分はローカル。唯一一人用の茶器が扱いづらく、脇からどんどんこぼれていくのだが、わりと常連っぽいおっさんでも結構こぼしているのでどうやらそういうものらしい。お湯はいくらでも入れてくれるし。海老餃子に腸粉、焼売と豚肉の蒸し物を楽しんで店を出る。


↑かみさんがいないので今回は大手を振ってエビの点心をいただきました。これは酒よりもお茶ですな。

 ここから本格的に行動開始、今日は赤柱に行くことにする。ここにいける公共交通はバスだけで中環の交易広場から乗り込む。ここが始発なので首尾よく二階の最前列に座れた。金鐘までは渋滞をかき分けゆっくりと進んでいったが、そこから先はどんどん緑の濃い道を進んで行く。道幅もいつの間にやら片側1車線になりアップダウンの激しい道になった。途中からは窓からの眺めに海も加わり30分ほどで赤柱に到着。

↑青い空に青い海、それによく似合うマレーハウス。混沌とした都会を忘れさせてくれるさわやかな赤柱の風景です。

 山と海に囲まれた景色がなんとも壮観である。とにかく空が突き抜けるほど青いから気持ちがいい。酷暑の中だが今回ここに来たのはベストタイミングだった。一通り海を撮ってからここのもう一つの楽しみであるスタンレーマーケットへ。衣料品に混じって観光土産やちょっとしたギャラリーもある。ここで何としても買わねば、というものはそんなにないがマーケットの雰囲気を楽しむのにはいいところである。日本人の団体が大挙していたがなぜか海には来ずマーケット止まりなのだ。まあ、海沿いが静かだからいいか。それほど広い街ではないのですぐに歩き終えて海沿いのバーで休憩。まだ午前中だから飲んでいる人は少ないがこの空気の中飲む酒は格別だ。

↑真昼間で電気もついていないバーで一杯。このひと時がたまりません。

 12時になって改めて昼飯。海沿いだけに海鮮が売りだが、観光客で向けの店もありそういうところは西洋料理から中華までなんでもある感じだった。選んだ店は西洋風だが、おすすめメニューの海鮮のバケツ蒸しにクラっときて決定。一人なので小を選んだら思いの外小さかった。考えてみれば2?3人前のシーフードプラッターを一人で食べる人間なのだから大でも全く問題無かった。しかし、ムール貝もアサリも身が大きく食べごたえは充分にあった。それに一軒で腹一杯にしては香港に来た甲斐がない。最後に海をしっかりと焼き付けて赤柱を後にする。

↑一人用海鮮バケツ蒸し。大でもたぶん余裕でしょう。

 帰りも中環まで行こうかと思ったら途中でこの度新規開業した南港島線の駅に接続しているのでこれ幸いと早速新物に乗る。海洋公園駅から金鐘まで一駅だったが真新しい駅とポップな内装の車体などなかなか楽しませてもらった。

↑観塘線の延伸区間もできれば乗りたかったですが。南港島線に乗れただけで今回は良しとしましょう。

 ここからトラムに乗り換えて銅鑼湾へ。目的はタイムズスクエアのスーパーでここでお土産調達を目論んだのだが、一つ誤算が。そごうもそうなのだが、少し高級なスーパーになると日本製品が幅をきかせて来てなかなか香港だけで手に入るという感じのものが少ないのだ。しかし最後にふとビールの棚を見るとおなじみの各国ビールに混じって香港のクラフトビールを発見して購入。クラフトビールの波はしっかりと香港にもきているようだ。近くの蛇屋「蛇王二」で2日連続の蛇羹を食べて湾仔へ戻る。結局お土産は宿の近くのウェルカムの方がいいということに改めて気付かされた。中国茶のティーバッグに出前一丁、クノールの金華ハムの素にインスタントミルクティの素を買って宿に戻って休憩。
 改めて夕方からは中環へ。お目当は蘭桂坊で冷たいビールだ。酒の飲めないカミさんと一緒だと行かない場所なので今回訪れたのは結構久々。前回来たときは中心にあるビルがまだ建設中だったからだいぶ昔の話だ。建物が変わっているということは当然店もだいぶ変わっていて何軒かあった正調イングリッシュパブ風の店は無くなってしまい飲むところを一から探し直すことに。そして事前にレストランガイドで生カキが食べられる店も近くに見つけておいたのだが、これも物の見事に無くなっていた。あ?あ、こんなことなら赤柱で食べておけばよかった。と海鮮欲が満たされないうちに晩飯の時間。

↑今回気づいたこと。意外に蘭桂坊とは相性がよろしくないということ。駱克道の方が肌に合うようで。

 今回中環に来たのは蘭桂坊だけでなくエスカレーター下にある大牌當も目的のひとつだった。華やかな雰囲気のすぐそばにありながらも古き良き時代を残している一角でこの雰囲気を楽しむなら暑いとばかりは言っていられない。ビールのつまみなのでここではイカの唐辛子炒めとエビのガーリック蒸しを頼んで一人しみじみとビールを飲む。思えばアジアの屋台も随分と行ってないなぁ。

↑お客さんはまばらでしたが中環に残る数少ない「香港らしいところ」として残ってほしいものです。

 食べ終えたら昼に続き再び銅鑼湾へ。海鮮欲はとどまることを知らず、それを満たせるのは銅鑼湾高架線手前にある大牌當しかない。とトラムに飛び乗ったのだ。すでに賑わっているがなんとか座れてここでは茹でバイ貝とアサリのブラックビーンソース炒めを食べる。バイ貝はいうまでもないがアサリ炒めにそれとなくサルボ貝も入っていてこれは嬉しい。ひたすら貝を開けて食べ進む。こんなのが店先でいたら立派な営業妨害だと思う。
 店内が満席を通り越してみちみちになって来たのでタイミングよく店を出て腹ごなしを兼ねて銅鑼湾を歩く。昨日の旺角に続きまたしても繁華街をそぞろ歩きだ。帰り道すがらでまずは潮州麺の店で紫菜四宝河を食べて、さらに駱克道で飲み直し。ここにはイングリッシュパブ風の店があって炭酸の少ないイングリッシュエールもあるから満腹でもついつい寄ってしまうが、今日はライブ演奏をしている店が多く、比較的静かな店を選び一杯ひっかけて宿に帰り着いた。

↑赤い照明が多いのでレッドライトディストリクトにも見えますが健全な街です。足唐酢”。

 一度昼間にシャワーを浴びたので昨日に比べれば汗のベタつきは比較的軽かった。
8月16日(水)
 今朝も6時には目を覚まし7時に朝飯を食べに外に出る。昨日が飲茶とくれば今日はやっぱりお粥。ということで今日も中環に向かうことから始める。中環では何軒かお粥屋を見つけておいているので万が一まだ開いていなくても大丈夫。最近では家でもあんまりお粥をやらなくなったので実は結構久しぶりだったりする。
 朝から大汗かいて一旦宿に戻り荷物をまとめてひとまずチェックアウト。荷物は預かってもらってもう少し外に繰り出す。とりあえず地下鉄に乗り込み、特に目的もないまま気まぐれで上環で降りて乾物屋の続く方へと向かったら気づいたら西栄盤まできてしまった。

↑上環から西営盤の間は乾物屋も多いですが、「あの世用品」店もお忘れなく。

この辺で乾物の一つでも買いたいところだがアワビはむしろ生の方が好きだし、干しナマコとか買っても戻すのに何日もかかるから手に余るだけだしなぁ。

↑アワビ乾燥中。たぶん、乾きませんよ。

 湾仔に戻ってもう少し青空市場を歩き、最後の最後まで大汗かいて荷物を受け取り空港へ向かう。湾仔から地下鉄に乗って機場快線に乗る頃には汗もすっかり引いてここでようやくこの暑さから解放された。八月の香港はなめたらいかん、ということを身をもって思い知った。
 さて、空港へ着いてチェックインも出国も無事に済みお土産も買い足したのだが、昼飯を食べようと思っていた潮州料理屋が撤退してしまっていた。最後の最後にちゃんとした中華を食べられるいいところだったのだが、まあ次はオイスターバーになるのだから次回の楽しみにしておこう。腹は減ったがフードコートは大混雑だしどうしたものかということでもう普通の飯屋でビールと鶏肉麺を食べて済ますともう搭乗時間に。
 今日は空港とその上空が非常に混雑しているとやらで離陸までしばらく待たされたがようやく動き出したところ。滑走路についてふと窓を見ると離陸待ちの飛行機が列をなしている。結局1時間遅れで羽田へと飛び立った。こういう時に機内に松山千春でもいてくれれば・・・
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