期間 2009年10月1日〜2009年10月6日
(行ってきた人、文、写真=IAN-G 同行者=いません)
↑ヘイシャム港の「マン島行きフェリー」の案内板.。ヨーロッパ周遊の旅はある意味ここから始まりました。
10月1日(木)
ランカスターは見事な日本晴れ、いや英国晴れというべきか。グレートブリテン島を発つには絶好の天気だ。とりあえずその前に腹ごしらえ、と宿の一階のパブスペースで朝飯。昨晩もそのレベルの高さに思わず唸ってしまった食事だが、朝飯も例外ではなかった。イングリッシュブレークファーストをわざわざ”ランカシャー”と銘打つほどだからどれほどのものなのか期待していたら、これが予想以上のもの。ベーコン、ソーセージは厚みのある味で歯ごたえも満点、ベイクドビーンズも豆が絶妙な煮加減だったし、目玉焼きももちろん半熟。そして今回初対面のブラックプディングも、ほんのり赤味を帯びた新鮮なものだった。目一杯食べても体が重くない。このときカメラを持っていなかったのが返す返すも惜しい。
朝食で満足した後は手早く荷造りをして早々に宿をチェックアウト。青空広がる街に出る。今日はランカスターから少し離れたところにあるヘイシャムからマン島行きのフェリーに乗る予定だ。電車の場合、乗船時間に合わせて一日一往復しかなく、それも昼過ぎと時間がかなり開いてしまう。ヘイシャムも行ったら行ったで何かあるかもしれないので、バスステーションまで向かいバスを確認する。ヘイシャム行きは10分に一度くらいの頻度で運行されているようだ。念のためバスの運転手に「このバスはヘイシャム港まで行きますか?」と聞くと「まあ、大丈夫だね」と答えが返ってきたので載ってみることにする。のどかな田舎町をゆっくりと進みながら終点に着く。「ここから一本道で10分くらい歩けばヘイシャム港だよ。」と言われ、静かな住宅街を一人歩く。人気はほとんどない。歩いているうちに海が見えてきて「マン島行きフェリー」の標識もある。それまでにパブは一軒だけ見つけたもののまだ空いてなく、そのまま港方向に行くとあるのは発電所だけ。しかも標識には「放射性物質取り扱い中」なんて書いてある。どうやら原発らしい。巻き込まれてはたまらないとさっさとフェリーターミナルに向かう。
↑「ここから先原子力施設、放射性物質搬入の際はセキュリティに連絡を」って書かれてます。あぶないあぶない。
少し到着が早かったため人影はまばらだったが、電車が到着するにいたって人の数は増し、しばらくすると車での旅行者の乗船がはじまり、ほどなくして一般旅行者の乗船となった。マン島までは3時間近くの船旅。音楽だけを頼りに辛抱強く座り続ける。あいにく分厚い雲が行く手を阻むが、所々雲の隙間からまぶしい西日がアイリッシュ海を明るく照らしている。夕方5時過ぎに船はダグラス港に接岸。そしていざ上陸。事前に予約しておいた宿は海沿いのプロムナードをまっすぐ行ったところにあって、街の喧騒から外れ静かなロケーションだ。パブも併設しているので酒にも困らない。チェックインしてからほどなくして暗くなってきたのでそのパブで晩飯。そういえば今日は朝飯がうまくて結構しっかり食べたこともあり、昼飯を食べていなかった。もちろん空腹には肉!と、ランプステーキを頼んだら炭火のいい香りが鼻をくすぐる。ここもどうやら大当たりのようだ。地元のリアルエールとともに平らげる。酒もここまで珍しく一滴も飲んでいなかったのでここで一気に瓶のサイダー一本とエールを2pt飲んでいい気分に。今日のところは宿に帰って明日以降の予定を錬ることに。明日も晴れるといいなぁ。
10月2日(金)
マン島の週末、金曜日の朝は・・・雨。先週一週間は調子よく晴れていたが今週に入って一気に曇りや雨が増えてきた。朝飯を食べて少ししたらとりあえずやんだので外に出る。プロムナードはガイドブックで見たさわやかな青い空と青い海がどこかに行ってしまったかのように鉛色をしている。そして、寒い。海からの冷たい風が全方位吹き付けてくるのでとにかく寒い。念のためとシャツを一枚余計に着込んでおいて正解だった。
今日はダグラスから蒸気鉄道に乗って南部に行ってみることにする。ダグラス港より少し奥まったところにある駅は、小ぢんまりとしているが、その姿は歴史を忠実に物語っている。建物も列車も(乗っている人も)骨董品でタイムスリップしたかのような感覚だ。木製のコンバートメントに腰を落とし、出発の時刻を迎えると蒸気機関車がひときわ煙を吐き、軽妙な汽笛の音とともに動き出した。
ガタンゴトンと列車に揺られる。これが文学的表現になってしまい久しいがここでは今でも体感できる。のどかな田園風景を眺めつつ1時間で終着駅のポート・エリンに着いた。駅に着くと機関車はその場で切り離されUターン、休む間もなく復路の準備のようだ。
↑いかにも古そうなダグラス駅とそこから発車する蒸気機関車。実はSL乗るのは生まれて初めてです。
こちらは早速市内見物。マン島の街はほとんどが海に面していて、ここポート・エリンにはビーチもあるのだが、夏が終わったこともあり、人影はまばら。歩いていても人とすれ違うことはほとんどない。海岸沿いの店はやっていないか、開いていても開店休業状態。本当に人気のない海ほどもの悲しいものはないな。しばらくしてパブが開き始めたので一杯飲む、町の中にパブは3軒程度しかなかったので巡るというほどのものでもない。バスに乗ってポート・エリンを後にする。
←ポート・エリンの海岸。怖いくらいに人がいません。
次の目的地はキャッスルタウン。こちらはそこそこ人の流れがあった。まあ、ほとんどが地元の人なのだろうけど。ただ、この狭い街にパブだけは結構あり重点的に入ってはビールを飲むの繰り返し、しかし、昼飯を食べようとしたらどこも食事を出す時間が過ぎてしまい。食べ損ねてしまう事態に。ロンドンなどの大都市なら一日中食事を出しているパブというのは当たり前の話だが、地方の家族でやっているようなパブはそうはいかないことをすっかり忘れていた。テイクアウェイの店も近くにないし・・・ダグラスに戻ってから食べることにしよう。蒸気鉄道で帰るにはまだ時間が早すぎるので再びバスに乗ってダグラスへ。ロンドンとほぼ同じ2階建てバスだが、景色がいいので2階からの眺めは抜群。しかも道路において制限速度というものが無いから、果敢に攻めた走りをしてくれるので結構なアトラクションだった。すきっ腹+ビールしか入っていない体には若干応えたが。
(左)城があるからキャッスルタウン。これは分かりやすい。
(右)マン島には各地にヨットハーバーがあります。その数の多さは十分驚きですが・・・後々さらに驚くことに。
そして6時ごろダグラスに着く。市内には商店が立ち並びなかなかにぎやかなのだが、パブで懲りずにビールを一杯飲んで出てきたらほぼすべての店がその日の営業を終えてしまった。仕方がないので宿に戻ってここでようやく晩飯。酒そっちのけでガツガツ食べまくる。ここまで目一杯食べた記憶はヨーロッパにおいてはたぶんない。食べ終わったら今度は急に食べ過ぎたから一気に体が重くなり、そのままベッドでダウン。明日こそ晴れますように。
10月3日(土)
朝起きてテレビをつけると日本GPの予選がやっていた。日本と8時間の時差の影響というのはこういうところに来るのか。シンガポールがナイトレースにするというのもうなずける。さて、それを見終えてから朝飯。フルブレックファーストはマン島だとマンクス・ブレックファーストというらしい。本当にややこしいなぁ。今日も朝から腹一杯食べて行動開始。昨日は蒸気鉄道だったから今日は北へ行く電気鉄道に乗ることにする。
外に出ると、願いもむなしく雨模様。しかも天気予報によると今日はブリテン島とアイルランド圏内は低気圧に覆われて強風らしい。海沿いだと雨なのか風に巻き上げられた波しぶきなのかわからないような荒れた天気になっている。こんなんでわざわざ電車に乗る物好きなんかいるのか、なんて思いながら駅まで行くと意外なことに結構な人数が待っている。一両編成の電車はすでに作られてから100年以上経っている。ユーモラスな形と木のぬくもりが伝わる内装が印象的だ。風が吹くと木枠の窓がカタカタ鳴っている。観光シーズンは過ぎているから切符売り場は閉まっていて「車内でチケットを買ってくれ」といわれる。車掌に行き先を告げると紙テープになにやら書き込んで渡してくれた。どうやらこれがチケットらしい。
↑左右非対称の車体が愛くるしいマン島電気鉄道。トロリーポールの位置変更は運転士が竿を使って行います。
いざ走りだす。さすがにスピードはそれほどでもないが、上り勾配が続く線路を異様に頼もしくグングン進んでいく。ひとつ峠を越えたあたりで青空が見えてきた。こうなると車窓からの景色ががぜん良いものになる。見とれているうちに終点のラムジーに着いた。鉄道というよりも路面電車の停留場のような雰囲気の駅から少し歩くとここにも港があった。昨日は曇り空で鉛色の海だったが、今日は空の青がよく映えている。港沿いを歩き次々と風景をカメラに収める。ひと段落したらいつものようにパブ巡り。ここも街の大きさの割にはパブの数が多く。どこも雰囲気がいい。昨日の反省も踏まえて早めに昼飯も食べることにする。パブ飯にしては珍しいエビ野菜炒めをいつものように大量のチップスと共に食べる。せっかく島に来たのだから魚介類をたくさん食べねば。
↑青空が広がるとマン島の景色は数倍も美しくなる。どうりで秋以降は船が減便、運休するわけだ。
午後はバスで西岸のピールまで向かう。TTレースのコースにもなっている道をここでも攻めて走ってくれるのでスリル満点。もうこの時間になると朝の雨がうそのように青空が広がっている。ここの見どころは海に突き出たピール城。城壁の周りを歩くだけで古い建物と青い海がいっぺんに楽しめる。ここでも風が強く巻き上げられた波しぶきが顔に容赦なくかかってくる。一通りまわったら今度はその城の後ろにあるピール・ヒルも上っている。まあまあ結構な高さで頂上まで行くと周辺が一望できる。降りてからはまたしてもパブでビールを飲んで、再びバスでダグラスまで。緑に囲まれた道をひたすらに走り一瞬にして街に入るのがマン島の特徴だ。やっぱり商店は日暮れ前には終わってしまったので飯はまたしても宿で。よくよく見るとこの宿、マン島観光局のお墨付きの飯のうまいところらしい。適当に選んだにもかかわらず大当たりだった。「今日のお勧めだ」というのでパスタを頼んでも麺はしっかりアルデンテ。最高にいい気分でマン島最後の夜は更けていった。
10月4日(日)
↑ようやくダグラス港にも青空が。今にも雲が落ちてきそうな不思議な空間。
ようやく朝からよく晴れたマン島。こんな日に島を離れなければいけないのは残念だが、この天気なら飛行機も順調だろう。宿をチェックアウト。家庭的な雰囲気で本当に楽しかった。いい宿に出会うというのも旅の醍醐味である。朝日のまぶしいダグラスをブラブラとしてからバスで空港まで。はたしてここからアイルランドまでが国内線なのか国際線なのか見当もつかないのでとりあえず2時間前には到着しておいた。チェックインを済まして昼飯を食べ、一杯飲んでいるうちにあっという間に搭乗時間、UK本土かアイルランドくらいしか路線がないからこんな感じでターボプロップばかり、あってもリージョナルジェットくらいなので、ボーディングブリッジなんて気の利いたものはない。沖止めされている飛行機まで直接歩いて乗り込む。ダブリンまで向かうエアアランの機材はATR−42。ターボプロップ機で機体の名前通り42人乗り。ちょっとした大型バス停程度といったところか。機体が小さいから体感速度も抜群、上昇も心なしか早いような感じもした。水平飛行になってひと安心と思いきや、すぐに下降をはじめ、あっという間に着陸の態勢に。30分のフライトは無事に終わり、ダブリン国際空港に着陸した。
←これがATR-42。どうにもターボプロップ機は好きになれませんな。
すでに一度来たことのあるダブリンだが、まさかこんなに早く2度目の訪問が実現するとは思わなかった。オコンネルストリートのスピアーオブ・ダブリンが変わらず鎮座していた。バスもLUASも市内を忙しく走り回っている。そしてテンプルバーでは相変わらず地元の人と観光客が入り混じってビール片手に騒いでいる。前の週にリスボン条約加盟のための国民投票があったので町中に”YES”と”NO”が入り乱れていた。
(左)ダブリンのシンボル、”Spear of Dublin”は相変わらずアイルランドの空を支えていました。
(右)町中いたるところに”YES”、”NO”。国民投票への関心の高さが伺えます。
なるべくストレスを感じない滞在にするために宿は前回と同じところに。まさにテンプルバーのまん真ん中だ。経営が変わったのか部屋も新しくなり宿代もかなり安くなったが併設のパブは変わらないままだった。細かいところを見るとこの2年のうちにダブリンもかなり変わったようだ。特にアイルランドでしか飲めないスミディックスを頼んだらいきなりそのデザインが変わっていた。真紅のバックに塔のイラストとブロック体で”SMITHWICKS”。これがまたシンプルでカッコイイ。とりあえず街を軽く歩き回り、晩飯を食べ、そこからはパブでライブ音楽を聞きながら秋の夜長を楽しんだ、ここにいる以上、早めに帰って寝る、なんてことはできなさそうだ。
←テンプル・バーのパブは酒と音楽がそろって初めて完成します。
10月5日(月)
今日も朝から気持ちのいい天気。こういう日はすぐにでも外に出たくなる。その前に朝飯、となるのだが、この宿こそビュッフェ式のアイリッシュ・ブレックファーストのおかげで一日腹が全く減らなかった経験をした因縁の場所だったりする。しかしさすがにここまで幾多のフル・ブレックファーストをこなしてきたことで、もはやそんなことは過去の話。随分となれたものだ。
さて、今日は電車でベルファストに行く予定だった。しかし、LUASに乗ってコノリー駅に行って時刻を確認すると
「ベルファスト行きは終日運休です。」
と非情なるメッセージが。読み続けると、
「代替バスにて運行しております」
といってもバスとなれば電車よりも時間がかかるのは必至。最悪行って帰ってくるだけになってしまう。仕方がない、ベルファスト行きは翌日に延期。もちろん次善策は考えてある。この2年のうちにダブリン市内にはバイクシェアリング。つまり町中で自由に乗り降りできるレンタル自転車サービスが登場していた。これで縦横にダブリンを行こうというわけだ。早速利用手続きをする。3日間の利用登録料はたったの2ユーロ。サクサク済ませていざ支払い。とクレジットカードを差し込んだら・・・
「このクレジットカードでは支払いできません。」
と、さっきのコノリー駅よりも3倍ぐらい非情なるメッセージが返ってきた。
どうやらクレジットカードといってもICカードのみの対応で、
「お前の時代遅れの磁気データのカードじゃ無理なんだよ!」ということらしい。
↑このバイクシェアリングサービス、パリにもブリュッセルにもありましたがすべて同じ規格で運営されているので全て使えませんでした。
ああ、磁気データのクレジットカードが憎い・・・
2ユーロくらいせめて現金で払わせろよ。一応HP経由で買えないものかと調べると年間契約しか取り扱っていない。さすがに2戦連続で出鼻をくじかれると打ちのめされた感じになる。仕方なくいつものように自らの足だけを頼りに街を行く。ダブリン中心部はすでにかなり歩いたから、今日は南部、LUASのグイーンライン沿いに足を向ける。ああ、これで自転車さえあれば・・・市内では併用軌道を行くLUASも少し外に出ると専用軌道を走ることが多くなる。鉄橋も出てくる。それでいて駅は路面電車の特性を生かしたプラットホームの必要がないつくりでみんな堂々と線路を横断している。ここまで来ると、もはやいるのは地元の人だけ。鉄橋の下からLUASをカメラに納めようと待っていると、地元の高校生やベビーカーを引くご婦人あたりがこの「鉄道マニアっぽい東洋人」に怪しげな視線を投げかけてくる。お目当ての写真を撮ってからいったん市内に戻って昼飯。ビーフ&ギネスをすっかりはまってしまったサイダーとともに食べてからは足の赴くまま、人が流れて道が続く方へ歩いていく。都会の喧噪から離れ、運河沿いの緑道をのんびりと歩く。
↑地元の人たちに怪しまれながら撮った写真がコレ。でも待ったわりには肝心のLUASが目立ってません。
↑水面にきれいに映し出される町並み。ダブリンが「住みたい都市」で常に上位に位置するのもうなずけます。
散々歩いて今度は港の近くにも行ってみる。もちろん徒歩。市内の真ん中を流れるリフィ川をそのまま下流に行けば港があるのだが、建設ラッシュで通りがふさがれているところ多く。こちらは行って帰っただけ。途中、まったく人気のないところで中国中央電視台のテレビクルーが撮影をしていた。リスボン条約の国民投票は遠くアジアでも関心あることのようだ。
と、こんな感じでゆるく過ごしていたらいつの間にか夕方。徐々にテンプルバーが音楽であふれてくる。パブの中でギターとフィドルで伝統音楽を奏でているところもあれば、道の真ん中でアンプ持ち出して豪快に演奏して、警官と言い合いをしているバンドもいる。路上ライブを楽しみ、パブでのライブも楽しんでから晩飯。こんな一日もたまにはいいか。明日こそベルファストに行くぞ!雨らしいけど。
←街頭で大音響で演奏!このバンドについて詳しくはこちらから。
10月6日(火)
予報通り外は雨。BBCの天気予報はよく当たるなぁ。北に行きさえすればこの雨も降っていないというからしばしの我慢だ。しかしコノリー駅に行ったら今日もベルファスト行きは全面運休。さあどうしよう。次善の策としてコーク、リムリックなどの南部の都市に行くというのもあったのでヒューストン駅に向かい確認すると向こう一時間電車は発車しないらしい。仮にそこまで待って行ったとして着くのは午後の2時過ぎ。これはもう遠出はあきらめるしかないか。
かといってダブリン市内にいるといってもこの雨じゃろくなところへ行けやしない。「今日くらい何もしないでゆっくりしたらどうだ?」というお告げなのだろうか?この状態でまず入ったのは本屋。そういえば最近は旅行に行っても本屋に入ることが減ったなぁ・・・海外の本屋は立ち読み用にソファまで用意されているから暇つぶしにはちょうどいい場所だったりもする。明日から大陸側に行くわけだが、その予備知識が全くない状態なのでガイドブックだけでも買っておく。もちろんロンリープラネット。もちろん全部英語。別に読むのは苦ではないが、ヨーロッパ全体のものを買ったので辞書並みの厚さ。さあ、これで自分も観光客だ!
雨脚は弱まるどころか勢いを増すので屋根のあるところからなるべく出たくはないし、昼は同じ建物の中にあったバーガーキングで済ませる。ここまで揚げたてのうまいチップスばっかり食べていたので使い込んだ油で揚げたポテトが胃にこたえる。ファーストフードチェーンの中でもポテトはここが一番うまいと思っているバーガーキングでこれなのだからとてもじゃないが他に入る気はしない。
←雨に煙るダブリンの街角。だけど、雨の日、傘がない。
午後2時ごろになって少しだけ雨が弱まってきたのでうまく屋根伝いにパブからパブへと移動する。こういう雨の日にパブにいるのは地元のオッサンばかりで、おしゃべりしながらテレビの競馬中継を見ている。こういうところに一人で乗り込んで、ドアを閉めた音が瞬間に全員がこちらを睨みつけるように振り返る。これに出会えるとたまらなくうれしい。連続で入った4軒、すべてこれだったからこれはもう心の中でお祭り騒ぎだ。雨に少しは感謝せねばいけない。
夕方になるとすっかり雨も上がりリフィ川からはきれいな夕焼けが見える。カメラを構える人で市内にかかる橋は大混雑。こちらが一人なのをいいことに「シャッター押してくれない?」と頼まれる。
↑リフィ川を染める見事な夕焼け。人も車も真っ赤に染まって家路(もしくはパブへの道)を急ぐ。
晩飯前にいったん宿に戻り部屋に向かう。リフトから出るとフロア全体があからさまに工事中。しかも電気は消されて真っ暗!急いでレセプションに行く。昨日のうちに「工事が入るから部屋を移りますか?」と言われていたのだが、どうせその日のうちに終わるということだし、夜まで戻ることはないから大丈夫、と答えておいたら。ものの見事に終わっていなかった。観光客が来なくなり、廃墟になったホテルというのをテレビや写真で見たことがあるがそれに近い状態といっていいだろう。さっさと荷物をまとめて用意してくれた別の部屋に移動。たった一人でダブル+シングルの3人部屋を占領してしまった。
この日の晩飯はテンプルバーのアイリッシュレストランで。ビーフ&ギネスはもう食べたし、アイリッシュシチューは自分で作った方がうまい、ということがわかったのでどちらもパス。ガーリックプロウンとスズキのグリルを選ぶ。 そして明日からの予行演習というわけでワインを注文した。行きの飛行機以来だから飲むのは三週間ぶりになる。ここでいい気分になってしまったが最後はやっぱりビールで締めねば、というわけでやっぱり今夜もパブめぐりをしてから部屋に戻る。広々としたベッドで大の字になって明日からの大陸での日々に期待を膨らませつつ眠った。
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