ハイネケン(Heineken)(オランダ)
日本でもお手軽に飲める外国産ビール。最近では黒ビールも出回っていますね。海外に行くと「どうせ日本でも飲めるからいいや」という感じでめったに飲むことはないのですが、あまりにけったいなビールがそろうヨーロッパに行ったときにはこういった「標準仕様」のビールというのは結構重宝します。それにハイネケンならラベルにも馴染みがありますからね。やっぱり本国オランダのハイネケンはやっぱり少し違うのかなぁ?
↑アムステルダムのハイネケン・エクスペリエンス。もちろん元工場。市内中心部から徒歩十数分はブリュワリーとしては最高の立地
で、世界中どこに行ってもあるハイネケンの総本山、オランダのハイネケンはやっぱり一味違うのか?結果から言ってしまえば「同じ」でした。その秘密を探るべくアムステルダムのハイネケン・エクスペリエンスへ。ここでも言っていましたが、ビール会社が大きくなるには同じ味を安定して作り続けることが必須。レシピもさることながらここでも酵母が最も重要なものとして強調されていました。おかげで世界中どこへ行ってもおいしいハイネケンが飲めるというわけです
アムステル(Amstel)(オランダ)
オランダでハイネケンの次にメジャーなビールですが、現在はそのハイネケンの傘下。日本ではなじみがないけれど実はUKでもアイルランドでもドイツにもベルギーにもあってEU圏内では意外にメジャーなビールだったりします。味はといえばホップの香りが華やかなハイネケンに比べてこちらは苦味の利いたビタータイプ。日本人受けはしそうだけど、悪く言えば日本のビールに近いという感は否めませんな。秋冬限定のボックもあって、こちらもとっつきやすい味です。急いで飲んだらもったいない、という感じですね。
カールスバーグ(Carlsberg)(デンマーク)
一時期日本でもCMが放送されていましたが今は輸入食材屋などで細々と売られている状態。デンマーク王室御用達のビールでヨーロッパおよびアジアで根強い人気を誇っているビールです。サッカーヨーロッパ選手権のスポンサーでもあるためかUKのパブでこのビールを片手にサッカーを観戦していても何の違和感も感じません。(ちなみにUEFAチャンピオンズリーグのスポンサーはハイネケン。)
シンガポールやマレーシアなど、アジア各国でも屋台で飲めるビールの代表格で屋台仕様とも言うべき大瓶がしっかりとラインナップされています。注文するときは「カスバ」でOK。これだけでアジアの香りがするビールになるのだから不思議なもんです。
↑ヨーロッパのビールなのに飲んでいるのはアジアばっかり。「カスバ」の方がしっくりくるわけです。
クローネンブール(Kronenbourg)(フランス)
フランスといえばもちろんワインの国ですが、ドイツ文化の影響が強い(戦争でドイツ領になることしばしば)アルザス地方では実はビールも作っていたりします。で、この数少ないフランスのビールがこれ。いわゆるドイツスタイルのラガーなのでいたってスタンダード。でも国産ゆえビールの高いフランスでも気持ち安いのが何より一番いいところ、
”1664”というブランドでUKのパブでもおなじみですが、UKで飲むと断然安くなります。UKだと1ptが高くても3ポンド、フランスだと50clで高いと7ユーロくらいとられます。
マイナーな話ですが1994年のラルースF1チームのメインスポンサーだったりもします。(鈴鹿ではノンアルコールのブランド、トゥルテルでしたが日本の野田秀樹がこのマシンで走ってます)
←クローネンブールカラーのラルースLH94。ドライバーはモナコ出身、オリビエ・ベレッタ
ステラ・アロトワ(Stella Alotois)(ベルギー)
今や日本でもヒューガルデンやらベルビューキリークやらレフェやら、ベルギービールが比較的浸透してきていますが、海外のパブで最も目にするのはこのビール。なんといっても世界最大のビールメーカーの旗艦ブランドですからねぇ。アルコール度数がやたら高かったり、コリアンダーやオレンジピールなどの風味をつけたりするベルギービールにおいて普通にホップを使ったピルスナータイプのビールでこの手のビールが自分のところにないロンドンをはじめとするUK各地で好まれています。(オーストラリアでは値段がチト高めなのか出はイマイチ)
ケルシュビール各種(ドイツ)
ケルンはドイツにおいてミュンヘンと並ぶビールの銘醸地。そのビールはケルシュと言って寒冷地にもかかわらず発酵温度が高めの上面発酵酵母(いわゆるエールイースト)で醸造されるビールで、苦味たっぷりのラガーに比べてフルーティーな香りと清涼な後味が特徴です。”ケルシュ”を名乗れるのはケルンとその周辺にある20のブリュワリーだけで。国外に出ることも少なく、同じように作っても"ケルシュ"の名前をつけることはできないので日本で飲めるかといえば難しいですが、通販サイトなどで”DOM”あたりは手に入るようです。
たった2日間のケルン滞在で飲んだのは・・・
”DOM” ”Gaffel” ”Gilden” ”Fruh” ”Paffgen” ”Sion” ”Peters”
の7種類。果たしてこれは多いのか少ないのか?いずれもケルンの市内中心部にブラウハウスがあるところや、たまたま入ったバーにあったものばっかりです。肝心の味なんですが、一堂に会して飲み比べでもしないと分からないくらいの差です。「少し苦味が強い」、「余韻が長い」、「コクが強い」といったところが主な違いでしょうか。なのでどれか一番好きかと言われても難しいところ。
↑「シュタンゲ」と呼ばれる細長いグラスで飲むのがケルシュの特徴。グイグイ飲んで何度もお代わりしましょう
トラピストビール(ベルギー)
ベルギービールの代表格として有名なのがトラピスト修道院で作られるこのビール。トラピスト会修道院で生産されていることを表すこの名を名乗れるのはベルギーで6箇所、オランダで1箇所の計7箇所だけ。
その中でシメイ(CIMAY)、オルヴァル(OLVAL)、ウエストマール(WESTMALLE)、ロシュフォール(ROCHEFORT)の4種類は日本にも輸入されて容易に飲むことができます。特徴としてはアルコール度数が高いこと。熟成させたワインのような口当たりがします。そして敬虔な修道士の方々が作ってきただけあってどれもうまい!瓶詰めしかない上に瓶内発酵もさせるためボトルごとに微妙に味が違うこともしばしば。しかもこの瓶内発酵のおかげで普通のビールにはない「熟成」という楽しみもあります。
オランダのラ・トラッペ(La TRAPPE)は馴染みがないものの、ブリュッセルのビール屋、お土産屋で「トラピストビールセット」のような感じでも売られているので飲むのは楽なほうです。
そしてトラピストビールを制覇する為の最大の難関が残るひとつのウエストフレテレン(WESTVLETEREN)。何しろ少量生産、修道院の片隅だけで不定期に販売し、個人にしか売らない(業者には卸さない、転売は禁止)、と旅行者としては相当の強運がないと飲むことができない・・・と思いきやさすがは日本人。ネット通販サイトでは結構売られているようです。(アレ?)
←ちなみにこれはウエストマール。トラピストビールのグラスは、皆聖杯を模したつくりになっています。
スティーンブルージュ(Steenbrougge)(ベルギー)
歩きつかれた後にぜひとも飲みたい小麦ビール。グラスにレモンが添えられてきました。同じ系統にあるヒューガルデンホワイトのような独特の香りはないものの、このレモンでそれに近い状態になっていました。
で、このビール、ベルギーの修道院(トラピストではない)で作られたビール(これはアビィ・ビールという)だけど、飲んだのはアムステルダム。しかもアイリッシュパブで飲んだもの。一瞬自分がどこにいるのか分からなくなってしまいました。「Paris吉祥寺中野ブロードウェイ店」みたいな感じですかねぇ。
マエス(Maes)(ベルギー)
ステラアロトワという世界に誇るビールブランドがあるベルギーではあるもののブルッセル、アントウェルペンなどの大都市では意外とその名前を目にしない。カフェでもっとも目にするピルスナーがこのマエス。ブリュッセルの飾り窓にもこのロゴはたくさんあったなぁ。味は結構ホップのフレーバーが利いていました。
←ベルギービールは銘柄によってグラスがいちいち変わります。マエスはコレ。
ジュピラー(Jupiler)(ベルギー)
同じくベルギーでよく見るピルスナー。こちらはどちらかといえば苦味の方が際立った味がしました。スペルがスペルなので何度も”ジュピター”と言い間違えていましたが。みなさんマイルドに受け流してくれていました。日本人のブロークンイングリッシュだと同じに聞こえるのだと思います。第一、ベルギーはフランス語かオランダ語ですしね。マエスがベルギーの外ではあまり見なかったのに対してこっちはオランダでも飲めました。近いんですけどねぇ。
↑ドラフトでも缶でも好きなときに好きなスタイルで。自動販売機でもコーラより数をそろえて待っています。
世界のビールを飲みつくす [オーストラリア編] [アジア編] [UK&アイルランド編]