世界中で食べて来たものたち〜アジア編、その1〜
思えばすっかりオーストラリアよりもアジアに足を運ぶことが多くなってしまい、行く先々で食べた特長ある食べ物が多くなってきたのでここでは東南アジア圏で印象に残った食べ物を選りすぐって紹介していきます。辛いものから甘いもの、酒のつまみから腹いっぱいになる食事まで。アジアの料理もワンダーランドです。
ラクサ(シンガポール)
ご存知シンガポールを代表する麺料理。スープは辛いもののベースにココナッツミルクを使用しているので思ったほど激辛!!というはなくむしろマイルドなうまみも隠れていて、できることならスープの一滴まで余さず飲んでしまいたいほど。シンガポールには「カップヌードルラクサ味」があり土産として大変喜ばれます。
↑2018年、ようやく撮ったラクサの写真。派手な具材はありませんが、スープがよくしみこんだ厚揚げが地味にうまいのです。
シンガポール風刺身(シンガポール)
海外でもようやく日本の「刺身」がメジャーになりつつありますが、シンガポールのそれはいうなれば「中華風カルパッチョ」といったところでしょうか?下にレタスを敷き、上には唐辛子と刻んだねぎと炒めたニンニクと玉ねぎ、そして胡麻油に塩コショウで味付けし、添えられているスダチ(?)をふって食べます。魚は白身だというところまでは分かるのですか、何なんでしょうかねぇ・・・
何度も食べましたが、腹は壊していないので衛生的には大丈夫かと。
↑チャイナタウンの「長城餐室」でしか見たことがないのですが、コレがかなりイケルのですよ。
海南雉飯(シンガポール)
シンガポールでラクサと並んではずせないのがこれ。モノ自体は茹でた鶏肉と鶏ダシで炊いたご飯といたってシンプルなのですが、そのお手軽さも手伝ってついつい頼んでしまうことが多いです。シンガポール/マレーシアだけでなくオーストラリアなどのチャイナタウンでも見ることができて、癖がある、脂っこい、などなど現地のものに少し飽きた時にもお勧めです。シンガポールではなんでもないフードコートやホーカー(屋台)でハイレベルの海南雉飯に遭遇することもあるので出たとこ勝負で頼んでみるのもいいかも。
↑一言で言えば「シンプル・イズ・ベスト」。オーストラリアでも大変お世話になりました
土窯田鶏粥&お粥各種(シンガポール、マレーシア、香港)
中華料理の定番といえばお粥。注文したらすぐ出てくる上に値段も安いので小腹がすいた時の軽食として重宝します。その中でも一番インパクトが強かったのが土窯田鶏粥。日本語にすると「土鍋で炊いた蛙入りお粥」のこと。土鍋の中でふつふつとに立っているお粥の中にカエルの足がたっぷり入っています。基本的にひと鍋2〜3人前の量なので、一人でかかるとかなりキツイです。しかも胃の中でさらにお粥が膨張するので想像以上に腹が膨れます。食べすぎには気をつけましょう。(消化はいいんですけどね)
←この一杯が悪夢の一杯に・・・なるかも。食べ過ぎ注意です。
↑こっちの一杯は一日の活力の源!前日の酒もコレでリセットですよ、ダンナ!
土鍋粥は本当に量が多いのでも普段食べるのは一人前サイズのお粥。前日飲みすぎた朝に食べるので、よく頼むのはレバの入った豚モツ粥。ほかにもガツ、シロ、子袋といったところが入ってきますが、今まで食べてきた限りでは子袋の掃除がなっちゃいないところのほうが多いです。「豚レバ粥」単体であったときはそちらがオススメ。
サテ(マレーシア、シンガポール)
非常に単純なマレーシア版串焼き。牛、鶏、羊などの肉を甘辛いたれに漬け込み、焼くだけ。それにやっぱり甘辛いピーナッツソースをつけて食べるのがマレーシア流。日本の焼き鳥、もつ焼きなどと同様、周りに立ち込める煙につられてついつい頼んでしまうケースがほとんど。一人前頼むと平均して10本は来ますが、一本あたりの量は決して多くないので普通に平らげられるどころか、物足りない人も多いのでは?牛はどうしても焼きすぎて硬くなってしまうので、鶏と羊がお勧めです。(イスラム圏のマレーシアなので豚はないんですね〜)
オイスターオムレツ(シンガポール)
カキといえば再三書いているように生カキこそが最高の食べ方だと思っていますが、調理したカキもたまには食べます。マレー半島名物のこれは名前こそオムレツ、と言ってはいますが、どちらかといえば「卵とじ」に近い感覚。後ろについているソースはケチャップ・・・ではなくチリソースですが、カキ自体のうまみがぎっしりと詰まっているのでソースなんか無くても十分!酒のつまみにピッタリのメニューです。
↑この一人前に数十個のカキが!生じゃなくてもカキってすばらしいものですね〜。
ロティ・ジョン(シンガポール)
シンガポールのアラブ系のホーカーで食べました。メニューの写真を見た限りでは「ちょいとしたつまみくらいのものかな?」と思って頼んでみたらコレが思いっきり炭水化物!モノはといえばパンのようなものを溶き卵を塗りながら焼いたもので、チキンやらマトンやらが中に入っています。チリソースがついてきましたが意外にそのままでもうまかったです。もともと酒を飲まないムスリムのための料理ですが、酒のつまみとしてもいいです。
ちなみにこの名前の由来はムスリムの人たちがジョン(=UKから来た白人)のために作ったものだからだそうです。
↑ロティ・ジョン。見た目パンのような餃子のようなお好み焼きのような・・・
スチームボート(マレーシア)
マレーシア版の「しゃぶしゃぶ」。ちゃんとしたお店へ行くと鍋が用意されて箸で突っつきながら食べられるそうですが(行ったことがないので未確認。)屋台で食べるときは串に刺さった状態の食材をお湯が沸いている鍋にくぐらせてソースをつけて食べます。ソースはサテでおなじみのピーナッツソースやチリソース、味噌たれなど。
赤道直下の暑いマレーシアで自分でしっかりと火を通して食べるスチームボートは非常に衛生的でもあって安心して食べられます。
基本的にイカやつぶ貝をはじめとして海産物がメインですが砂肝、豚レバ、子袋などもあります。
↑移動式スチームボート屋台にて。好きな物を選んでお湯が沸いている鍋にくぐらせてから食べます。
肉骨茶(マレーシア、シンガポール)
これで「バクテー」と読みます。豚の三枚肉、スペアリブ、ガツ、シロなどなどをたくさんの香草で煮たものでクアラルンプールの朝の名物料理になってます。なんといっても漢方薬でもある香草のエキスがたっぷり入っているので、飲みすぎ、食べ過ぎの翌朝でも胃にやさしいし、三枚肉はコラーゲンたっぷりで夜更かしのあとの肌荒れにも効きます。さらにご飯にスープをかけて雑炊風に食べれば朝の起き抜けでも意外にいっぱい食べられるもんなんですね〜。肉も野菜もたくさん入っているので栄養も満点。KLでの朝はこれに決まりでしょう。(豚肉を使っているので食べるのは華僑の人たちと観光客だけです)
↑かたやクアラルンプールの専門店、かたやシンガポールのホーカー。同じ肉骨茶でもずいぶん違ってきます。
肉骨茶だけじゃない。アジアの定番、肉のスープ
マレー半島や香港には肉骨茶のようにいろんな肉を香辛料とともに煮込んだスープがよく売っています。たとえば羊肉だったり、豚モツといったところをよく見かけますが、ほかにも羊のモツもあるし、豚モツにしてもレバ単体のものやガツ単体のものも見ることができます。基本的には中華系の店で見ますが、ムスリム系(羊のスープは主にこちらで)やマレー系の店でも食べられます。肉骨茶同様、ハーブとともに煮込んでいるので胃にやさしく、飯も進みます。モツ特有のにおいもあまり目立たないのでかなりおススメです。
↑モツ好きというひいき目を抜きにしても豚モツスープは最高です!!
ドライワンタンミー(マレーシア)
ワンタンミーとは早い話がワンタンメン。普通ならスープがあって麺があって、ワンタンがある、なんて感じですが、このドライワンタンミーはワンタンスープと汁なしの麺のコンビネーションになります。さすがに茹で上げの麺では食べづらいので麺に胡麻油とオイスターソースが絡めてあってこれだけで一品料理になっていて、なんとなく「一粒で二度おいしい」気分を演出してくれます。
↑コイツがウワサのドライワンタンミー。ワンタンの所在は麺だったりスープだったり、店によってまちまち
ビリヤニ(マレーシア、シンガポール、ベトナム)
野菜やスパイスなどと一緒に炊いたご飯のことで、マレー語だと「米」という言葉をつけてナシ・ビリヤニとも言います。それだけでも結構いけますが、大抵注文するとカレーやらタンドリーチキンやらがついてくるので(もしくは選べる)一皿で十分満足できます。主にイスラム、インド系の店で食べられますが、東南アジア圏内ならタイやベトナムでも食べられます。
↑ちなみにこれはマトンカレーがのっているもの。辛いのでつい酒が欲しくなりますが、イスラム系の店にはそれがないんです(泣)
フォー(ベトナム)
ベトナムの国民食である「お米の麺」。牛肉や鶏肉が一緒に入っているのが一般的ですが、魚が入っているあっさりめのフォーもありました。トッピングとして生のもやし、パクチー、蓼の葉、ヌクマム、唐辛子などが付いてきて、唐辛子は辛味調節用のためにスープに浮かべておくのですが、料理が来た瞬間に入れると最後はとんでもない辛さになるので要注意。まして食べたらその後3時間ほどは口の中が火事になるので気をつけましょう。その後のビールをおいしくいただきたいとという強い信念を持っている人だけ是非お試しあれ。
↑この写真、両方とも撮影したのは、実はオーストラリアです(もちろんベトナムでも食べましたよ)
↑こちらが正真正銘ベトナムで食べたフォー。やっぱり青空屋台で食べるのは風情がありますな。
バインミーテッド(ベトナム)
アジアとヨーロッパが見事に融合した逸品、と言えるでしょう。フランスパンにレバーパテ、中国ハム、紅白なます、レタスをはさんで、ヌクマムで味をつけたサンドイッチでです。内容を一から聞くと「ゑ?」と思ってしまいますが、これがなかなか侮れない。もともと癖の強い者同士が合わさったもので、むしろそれがよかったのかもしれません。路上屋台の定番メニューですがサイゴンの旧市場の近くにあるパン屋でも大人気でした。
←手際よくバインミーテッドを作ってくれるオバチャン。猛暑日の青空屋台ということは気にしません。
ホビロン(ベトナム)
これは何かというと「孵化寸前のアヒルの卵」。ライム汁と塩を振りかけて蓼の葉と一緒に食べるのが一般的です。
はっきりいってこれを最初から抵抗なく食べられる人がいたら尊敬ものです。とにかく殻を割るとくちばしや目ができかかっている異様なゆで卵で、もし目でもあってしまった日には震え上がってしまう代物なんです。かく言う自分も初めてご対面した時はいざ食べるぞ!と決意が固まるまで5分間ほどにらめっこしたもんです。
しかし味は感動する位にうまい。どううまいかというと本来淡白なものである卵にほのかな肉のうまみと歯ごたえが加わり、そこにライム果汁の爽快感が付いてきて感動の渦に巻き込まれること請け合いです。あれほど最初の一口までが長かったくせに結局最初の一晩だけで4つも食べてしまいました。まあ、ここまでうまいうまいと言っていますが実は目をつぶって一口でパクっと行かないと食べられないというのはここだけの話です。
←たかがゆで卵一個こんな大げさに盛らなくても・・・いや、ホビロンならこれもありではないかと
↑屋台でもエッグカップはホビロンのマストアイテムのようです。確かにあったほうが食べやすいです。
コムタム(ベトナム)
見た目は普通の白いご飯。しかし、その正体は小さく砕けたお米を炊いたものです。まあ、遠目に見たら区別はつきませんがね。消化がよいので朝ごはんによく食べられているそうです。朝っぱらからですが、写真のように豚肉を焼いたものをおかずに食べるのがポピュラーな食べ方で、一緒についてくる紅白なますやきゅうりを一緒に混ぜて肉と一緒に食い進むというなんともワイルドな一品です。実際に朝起き抜けに食べましたが米の粒が小さいからパクパク食べられしっかり完食。値段も35000ドン(135円くらい)とリーズナブルでした。
↑ご覧のとおりのボリュームですが結構いけてしまえるんですね〜。おかわりしようか迷ったくらい。
ネムチュア(ベトナム)
ベトナムおつまみの定番のひとつで豚の肉や皮をバナナの葉でくるみ発酵させたもの。ソーセージの一種といえるでしょうか。発酵させているだけに若干の酸味が味のアクセントになっています。レストランのメニューではなく基本は街頭やビアホイ(大衆ビアホール)などでウロウロしているおつまみ売りのおばちゃんから買うものなので、料理が来るまでにひとつまみ、とかビールを頼んでチビチビとかじるという感じで楽しみましょう。このおつまみ売りのおばちゃん、他にも茹でピーナッツとかウズラの卵とかちょっと高級そうなハムとかも持っています。
スーパーでも売っていましたがこちらは酸味もスパイスの利かせ方も強烈でした。こっちが正しい味わいなのかもしれませんがやっぱり街角で食べたおとなしめの味わいの方がいいかな。
(左)にんにくや唐辛子と一緒に食べると酒のつまみにピッタリ。いや、実際この唐辛子だけでもつまみにはなりますが。
(右)スーパーで買ったネムチュア。ちゃんとビニールで包装されていました。日本への持込は無理なので宿で食べてしまいました。
ブンボーフエ(ベトナム)
ベトナムの麺といえば何はともあれフォーですが、そんな固定観念に一石を投じるもうひとつの麺がブン。平打ち麺のフォーに対しこのブンは断面の丸い細い麺で屋台でもフォーに負けず劣らず人気です。スープや具などが多彩なのも特徴のひとつでその中でもベトナム中部フエの名物とされているのが今回食べたブンボーフエ。ま、フエに行かなくても普通にサイゴンの屋台で食べられますがね。私も雨宿りついでに入ったベンタイン市場の食堂で食べました。
↑フォーでおなじみの生ハーブがコレにもついてきました。それにしてもなぜガラスの器?
クア・ロット(ベトナム)
カニというのはとにかく食べづらいもの。甲羅から何とか身をほじくりだしてものも言わずに食べるのが醍醐味でもありますが、そんな常識を根底から覆す料理です。脱皮したてでまだ甲羅が柔らかい状態のカニを使った唐揚げです。とにかくカニを丸ごと大口開けてかじりつくということが何より新鮮な体験といっていいでしょう。足はサクサク、甲羅の中身は味噌が詰まっていてジューシーと感動の渦に巻き込まれること間違いなしです。
↑コレと一緒にカニチャーハンとカニ爪のタマリンド炒めを注文。まさにカニづくしでおなか一杯になってきました。
パッタイ(タイ)
タイ風焼きそば。タイ風のゆえんは味付けの核にナンプラーが使われていること。よって日本の焼きそばのソースの部分をナンプラーにすれば立派なパッタイの出来上がり。砕いたピーナッツをまぶして食べるので食感もなかなかのもの。辛くもなく味付けもそれなりだからなのか欧米人にも人気らしくカオサン通りにはパッタイの屋台がそこかしこに出ていました。店で食べるよりもボリュームもあり飯に困ったときにはお勧めです。
↑左が屋台のパッタイ。右が店で食べたパッタイ。結果はどちらも一長一短。
タイのぶっかけ惣菜
タイ旅行でもっともお世話になったのがご飯のうえにかけてもらって食べるお惣菜。この手のものは屋台で、ディスプレイされて売られているので指差し注文で何とかなってしまうのがいいところ。
↑惣菜屋台はこんな感じ。目移りしている間も店の人はわれ関せずでいてくれるので気兼ねもありません。
その種類はおなじみのグリーンカレーに始まり炒め物、揚げ物など多岐にわたるので「飽きる」という言葉とは無縁。まあ、しいて言えばご飯に飽きるかもしれませんがね。
↑数種類をいっぺんにのせてもらう時は組み合わせも重要。パラパラとしたタイ米には汁気たっぷりのおかずが似合います。
カオマンガイ(タイ)
タイ版の海南雉飯。鶏だしで炊いたご飯で食べるのもシンガポールのそれと同じ。しいて言えばタイで食べたものは胸肉単体で盛られたことくらいでしたね。辛いものばっかりのタイ飯の中でもひときわ目立つ淡白な味でこちらも濃い味付けのぶっかけ惣菜に食べ飽きたときにお世話になる大変ありがたいメニューでもあります。
↑5日間の滞在で2回もカオマンガイを食べたということは・・・タイ飯に飽きたわけでは決してありませんよ。
ソムタム(タイ)
タイの野菜って香りが強いのが多いんですよね。自分もコリアンダー(いわゆるパクチーですね)やタイバジルは大好きですが、レモングラスとかは少しばかり抵抗があるんです。何でも食べるくせに。タイのサラダ、ヤムはこの香草たっぷりの上に火が出るほど辛くて食べるのも一苦労なんですが、そんな中で香りも辛さもあんまり気にせず食べられるサラダが、タイ東北部の名物料理であるこのソムタム。
まだ熟していない青いパパイヤをささがきにして酸味と若干の甘味が効いたドレッシングと絡めたわりとシンプルなサラダで、石で出来た乳鉢とすりこ木でポクポク叩きつつ混ぜ合わせるのがお決まり。町の屋台でもソムタム屋台の目印はこの乳鉢なんです。
↑タイ料理は野菜も実は豊富。辛くないソムタムは絶対日本人受けすると思います。
肝心の味はといえばパパイヤ自体にはあまり味が無く、どちらかといえば食感勝負。歯ごたえはニンジンやごぼうなどの根菜に近いですが果実だから土臭さはまったくなし。乳鉢の中でたたかれて繊維質がだいぶつぶれているはずなのですが、それでも歯ごたえは充分。むしろその壊れた繊維のすき間にドレッシングが入っていってうまさ倍増です。今回食べたソムタムにはトマトとローストしたピーナッツが入っていましたが、どちらも食感のアクセントになるし、トマトが酸味、ピーナッツが甘味をさらに引き出してくれるのでとてもいい組み合わせでした。すっかりお気に入りです。
青パパイヤさえ手に入れば家庭でもぜひ作りたいですね。
ふかひれスープ(タイ)
ふかひれと言えば中華料理を代表する高級食材。香港あたりで一杯食べたらいくらするやら・・・なんて財布の中身を気にすることなくこのふかひれを満喫できるのがバンコクのチャイナタウン、ヤワラート。昼間は金行ばかりが目立つこの界隈も夜になると屋台が通りを埋め尽くすグルメ天国になり、その中の目玉商品がふかひれなんです。
通りにある大きめの中華料理屋にはそれはそれはご立派な形のふかひれがディスプレイされていますが、たいていの場合それはあくまで客寄せ用。かといって日本でよく見られる細かくほぐされたものが申し訳程度に入っているわけでもなく、ここで食べられるのは一口大で比較的かたまりになっているもの。かなりの存在感をスープの中でも見せています。これが注文を受けてから一気に高温で煮立たせてくるのでまずこの見た目だけで期待で胸が膨らみます。
写真の通りこのスープにはねぎなどの薬味も無くまさにふかひれとの一対一の勝負となるわけですが、別盛で生のもやしとコリアンダーがついてくるのはやっぱりタイ。意外にこのスープにも合いますが、やっぱり最初に何の薬味もなしでふかひれを楽しんでからお好みで足していくべきだと力説しておきます。そしてこのスープを一気呵成に飲んだ後の夜風が実に気持ちいいんです。
お値段は一人前で300バーツ。2〜3人前相当なら500バーツとかなりリーズナブル。バンコクにきたらとりあえずヤワラートでふかひれを楽しまないと損ですよ。
↑グラグラと沸いたふかひれスープ。外の暑さにもスープの熱さに負けず飲んでいきましょう。
ジョーク(タイ)
タイでもお粥はメジャーな食べ物です。タイにはお粥が大きく2種類あって、ひとつは「ご飯スープ」ことカオトム。こちらはスープが主役で、粒の残ったご飯が入っている日本的にいえば雑炊に近いもの。スープの量はご飯が泳ぐぐらい多いです。
そしてもうひとつがこのジョーク。こちらが一般的なお粥に近いものでお米もかろうじて形をとどめています。ダシが効いていてそのままでもいけますが塩味が足りないときはタイらしくナンプラーを足していきます。具は豚肉団子に温泉卵が人気のようで、ショウガの細切りも入っていて、「中華風だな」と思わせておいてやっぱりパクチーが入ってきます。
ナイトライフが楽しいタイでは酒を飲んだ後に締めで一杯、二日酔い気味の朝起き抜けに一杯とお世話になる機会が結構多いんですよ。
↑具の自由度は中華圏に一歩譲るものの朝はやっぱりお粥に限ります。
ガオラオサモンムー(タイ)
とにかく内蔵系が大好きでよく食べるのですが、日本に住んでいるとなかなか縁がない部位なのが「脳」。しかし、バンコクで見つけてしまいました。「ガオラオ」はスープの意味で「サモン」は脳、「ムー」が豚のこと。そう、よく煮込まれた豚の脳のスープです。
これが食べられるのはワット・プラケオからタイ防衛省の間を抜けた街なかにある食堂。いや、建物の間にある路地に屋台のようにある店。看板の名前もタイ文字なので通りすがっただけでは見落としてしまいそうですが、店先でしゃぶしゃぶ鍋のような形の鍋に豚の脳が煮込まれているのが目印。それに口コミでこの店の存在を知り、興味津々でやってくる外国人観光客が多いのか、かなりローカル色が強い店にもかかわらず店のおばちゃんも分け隔て無く気さくで、笑顔でこのスープを勧めてくれます。
豚のうまみが詰まったスープには、豚の脳のほかに、子袋や、脾臓などのバラエティ豊かな内蔵、揚げた魚に揚げたつみれまで入っていて、これにご飯があれば充分に食事になるボリューム。ねぎとコリアンダーもたっぷり入っていてこれだけ盛りだくさんでも変に重たくないのはさすがというべきでしょうか。これで一杯70バーツはかなりお得です。
↑スープ右上のシワシワのものが豚の脳みそ。他の具もどれも手作りだそうで実にうまかったです。
そして肝心の豚の脳ですが、これもとろけるような食感なんです。今までもスープに限らず何度か食べたことがありますが、新鮮じゃないと独特の臭みがついてくるし、結構ボソボソしているものが多いのです。しかし、ここのは新鮮なものを使っている上に、ちゃんと下処理をして煮込んでいるのかその臭みはまったくなし。見た目が似ているというのもありますが、味もタラの白子を想像していただけるとちょうどいいと思います。
「脳みそなんて・・・」といわずに、チャレンジしてみると一枚壁を破ったような達成感が得られますよ。
ファラフェル(UAE)
ドバイに行きました。当然ドバイで食べたものたちを紹介するわけなんですが、どこのページに書こうか迷た挙句にアジア編にしました。一応アジアには変わりはないですからね。ここで新たに中東編を作っても次行く保証もないので。
さて、中東の料理というとあまりお馴染みがないですが、他の国でもよく食べられていて有名なメニューというと思い浮かぶのがこれ。パリではマレ地区にファラフェル屋台が多いですし、ウィーンでもナッシュマルクトで売られていました。
空豆とひよこ豆にタマネギ、パセリとスパイスを混ぜて潰したものを一口大に丸めて、衣もつけずに素揚げしたものという比較的シンプルな料理ですが、このシンプルさが逆に多彩な食感を生み出しています。外はカリカリ、噛めばサクサク、中身はふんわり。それにスパイスの香りが合わさってこれが植物だけで作られるているとは思えないほど食べ応えがあります。ベジタリアンミールとしてこれを野菜やヨーグルトと一緒にピタなどに挟んで出されますが、これでもう十分な食事になるのもうなずけます。
今回食べたものは真ん中に穴が開いていますが、これはドーナッツのように早く火を通すためのもの。家庭でやるときは薄めの小判形にして揚げ焼きにすると火が入りやすい上に、油の量も少なくてすみますよ。
↑これで一人前。前菜として二人で食べるのにはちょっと多いかも。でも意外に軽く腹にたまりませんでしたねぇ。
フムス(UAE)
中東からバルカン半島にかけての食文化にメッゼというのがあります。平たく言えば前菜のことで、キリスト教圏のギリシャやレバノンでは酒のつまみとして、イスラム圏の国々ではメインの前の軽い食事として供されます。そんなメッゼの中でほとんどのアラブ料理の店で見られるのがこのフムス。
潰したひよこ豆にタヒーニと呼ばれるゴマペーストとレモン汁を混ぜ合わせたもので、そのままでも美味しいですが、この地方の薄焼きのパンに塗って食べるとこれがよく合うのです。食べ過ぎてメインの前に腹がいっぱいになるのではないかと思うほど。メインの肉料理や付け合わせの野菜でディップしてもゴマのコクが生きて美味しくいただけます。温冷両方のバリエーションがありどちらもそれぞれの美味しさがあります。
店によってはレモン汁を最後にかけるだけのところもあり、その場合はよく混ぜないと酸っぱいところを集中的にとってしまうことになるのでお気をつけください。
↑はい、ここはその「最後にレモンをかけるだけ」のところでした。気づくまで酸っぱいのを我慢していました。
キッベナイエ(UAE)
中東のメッゼの中でも有名な一皿。ただ”キッベ”だと挽き肉を揚げたものが出てきますが、”ナイエ”が付くとみんなの大好きな生肉料理です。
使うのは羊のミンチで、スパイスとともにペースト状になるでに撹拌し、それに挽き割り小麦ことブルグルを混ぜ込んだものです。肉を食べている感じはほとんどなく、食感を支配するのはブルグルの方で、プチプチした歯ざわりを楽しめます。これも薄焼きパンにつけて食べるとどんどん食べれてしまいます。
実はブラジルに行った時に現地のレバノン料理チェーン
HABIB'Sですでに食べたことがあったのですが、こちらはもっと生肉感が強かったのを覚えています。どういうわけがこれを写真に収めていなかったので今回ドバイで食べてようやく登場となりました。
タルタルステーキでもそうでしたが、これを頼むと店員の人に「これは生肉だけど本当にいいのか?」と確認をされます。生肉にありつきたければこんな質問程度でひるんではいけません。
↑このようにキッベナイエはきれいな模様も特徴。食べてしまうのが惜しいですが炎天下ではさっさと食べてしまいましょう。
タブーレ(UAE)
アラブ料理屋でサラダのコーナーに大抵あるこのメニュー。名前だけでは全く想像つきませんが、実際これは何かと言うと、パセリとトマトのサラダ。サラダですが、レタスなどの葉野菜はなく、パセリが主役のサラダです。
事前に仕入れた情報によるとパセリとトマトの他にクスクス又はブルグルが入っているそうなんですが、ドバイのアラブ料理の店で食べたものはその類のものはなく、ほぼパセリだけで勝負のタブーレでした。年中暑いこの地域でパセリの香りは一服の清涼剤となりますが、正直この写真の量のパセリを単体で食べるのは少々無理があるというものです。
これもソース代わりにパンをはじめ色々なものと一緒に食べると具合が良いようです。
↑まあ、たぶんこの「パセリだけ」のタブーレは少数派だと思います。
これからもアジアの国に行ってまだ見ぬうまいもんに出会ったら随時このページに追加していきます。
世界中で食べてきたものたち
[アジア編その2] [UK&アイルランド編] [ヨーロッパ編] [南半球編]
[貝は人を幸せにする] [世界の片隅で肉を喰らう] [エビで巡る世界の食卓]