世界中で食べてきたものたち
〜貝は人を幸せにする〜

 日本でも貝料理はたくさん食べることができますが、もちろん世界は広い。その土地その土地で魅力的な貝料理がありました。貝に目がない私、IAN-Gが心の中で小躍りしながら食べている様を想像しながらお楽しみください。

生カキ
 全世界共通でうまい貝といえばなんといっても生カキ。日本のものに比べれば小ぶりで、一人で1ダースくらいは造作もありません。海沿いはもちろん大きな都市なら大抵はオイスターバーが一軒くらいはあるので事前に探りを入れておけば容易に食べることができるのも嬉しいところ。これだけ食べて腹を壊した経験は、一度もありません。
 北半球では”R”のつく月がカキのうまいシーズンといいますが、比較的通年で食べられるところも多いようです。アイルランドでは8月にもう店頭に並んでいたし、香港ではその地の利を生かして日本、ヨーロッパ、オセアニアからさまざまな産地のカキを通年そろえていました。
 南半球のオーストラリアではカキの旬は日本と全く逆。それだけでもじつにありがたいのですが、南極寄りに行くと水温がさらに下がるので場所によっては一年中カキが楽しめるのだ!これはもう生カキ好きには天国ですね。8月(すなわち真冬)にタウンスビルに行ったときは滞在4日間、毎日最低1ダースは食べました。
 またシドニーのフィッシュマーケットではそんなフレッシュな生カキが開けられた状態で何種類も売っているので簡単に朝から一人生カキ祭りができてしまいます。いや〜生カキって本当に素晴らしいものですね。やけにいろんなソースが付いてくる時もありますが私はレモンのみでいただくのが大好きです。

↑シドニー近郊、マンリーで ↑シドニー・フィッシュマーケットで
↑ロンドン、バラ・マーケット脇で ↑パリ、北駅周辺で
↑香港、ナッツフォード・テラスで ↑ブリスベン、クイーンストリート・モールで
↑エディンバラ、ニュータウンで ↑ブリュッセル、グランド・プレイスで

ムール貝
 生カキと並んで貝といって真っ先に思い浮かぶのはムール貝。場所によってはKg単位での注文になったりもします。まあ食えてしまえるのですが。オーストラリアでは生カキに負け、アジアでは後述のサルボ貝やマテ貝に負けるのでめったに頼むことがないのですがね・・・

↑世界の貝の基本はやっぱりムール貝ですかね。ちなみにコレでスモールサイズです。(シンガポール)

 しかし、ヨーロッパに行けばこれはもうムール貝の独壇場。フランス、オランダ、ベルギーなどは地元の名物料理としてどこに行ってもメニューにムール貝が。特に北海産のものが小ぶりではあるものの身が大きくて食べ応えがあります。ワイン蒸しが当たり前かと思っていたらワインのないオランダ、ベルギーはパセリ、セロリを入れて水で蒸していました。酒のつまみというよりも完全に食事ということなのか、頼むとチップスが付いてきます。

↑ヨーロッパでは一人前が1kg。それより下はありません。そのまま火にかけられ、フタが殻入れになるムール貝専用ポットで来ます。
右の写真がベルギーの野菜と一緒に蒸したもの。(左はエディンバラにて)


生ムール貝
 貝好きは大量に皿に盛られたものが大好き、と同時に生も大好き。でも、それにはとことん新鮮なものが必要なわけで、これはニースで食べました。味はといえば、結構えぐ味が強かったですね。大きくなった筍の水煮をそのまま食べ続けた感じ。ゆえにビールやワインよりもウォッカとかが合いそうな気がします。(←生でクセのある食べ物には何でもウォッカを合わせようとする悪い癖。)やっぱりムール貝は蒸したものが一番いい、ということでした。
 一個が小さいので貝柱を外して食べる(日本と違い貝柱も外してくれるところなんてありません)のが結構面倒です。だが、それがいい。


マテ貝
 アジアでもヨーロッパでもありつけるうまい貝のひとつ。細長い形をしていてアジアではBamboo Shell(竹貝)、イングランドではRazor Clam(カミソリ貝)と呼ばれています。実が大きくプリプリとした食感がたまりません。アジアでは味噌炒めがポピュラーのようですが、殻ははずすことなくそのまま炒めてしまうので見た目はボリューム満点!一方でーロッパではバター焼きやワイン蒸しがメジャーな食べ方。ビールにもワインにも良く合います
 日本でも築地に行けばたまに見ることができます。日本で食べるときは日本酒に合う酒蒸しがやっぱり最高です。

↑マテ貝は味噌炒めが美味。歯ごたえ満点、しかもデカイ!(右:香港、左:クアラルンプール)


↑ヨーロッパのマテ貝は身が大きめ。食べたのがマーケット内の飯屋だったから鮮度も保証つき!(バルセロナ)


サルボ貝
 アジアでオススメなのがシンガポールやマレーシアで食べたサルボ貝。見た目小さい赤貝で実際中身もほとんど赤貝。スチームボートの具材としてもポピュラーですが、単純に塩茹でしたモノを味噌タレで食べるとこれも最高です。小さいので山盛り来たものを一人黙々と貝をあけながら貪り食う姿を想像するだけでたまりませんな。
 ちなみにこれも築地市場でたまに見つけることができます。買って持って帰るのにも困らないし、安いしうまいし・・・自宅で貝祭りをするときオススメです。

↑サルボ貝は単純に茹でただけでうまい!貝が空いていないけどちゃんと火は通っていますよ。(左;クアラルンプール、右;シンガポール)


マンクス・クイーニー
英語で書くと”Manx Queenie”。これは何かというとホタテの仲間。”Queen”という言葉が表すように身は小さめ。キッパーと並び冠に”Manx”とつくだけあってマン島の名物で、頼むと一人前にかなりの量が入ってきます。小さくても味はしっかりとしていてホタテ同様クリーム煮やバター炒めにするとうまいです。大きいのをひとつ食べるのもいいですが、小さいのを延々と行くのが貝好きとしてはたまらない瞬間ですな。

↑肝が赤いのがマンクス・クイーニーの特徴。煮汁をパンにつけてもうまい。(ダグラス)


エスカルゴ
 と言ってもブルゴーニュ名物のアレではありません。ブリュッセルに着いて即この看板を見つけて速攻で買ってみました。ええ、もちろん本物のエスカルゴと思ってですよ。セロリ、パセリ、それにトウガラシがいっぱい入ったスープで煮てある。これは期待大だ。と品物を受け取るまでにふと横に目をやると、薄い殻状のものが捨ててある。まさか、そう、そのまさかだった。このエスカルゴ、見事にツブ貝でした。そういやシンガポールや香港でもツブ貝はエスカルゴって書いてあったよな。ちなみに味はもちろん言うことなし、唐辛子たっぷりのスープを飲めば寒さも一気に吹き飛びます。
←澄んだスープに街路樹が写っています。キレイ〜(ブリュッセル)

↑もちろんオーソドックスなツブ貝もあります。貝にうまみがあるからソースも何もいらないんですね〜。(香港)


ミル貝
 貝というのはもともとそれほど大きいものはないのですが、今まで食べてきた貝の中でダントツの大きさだったのが香港は南Y島で食べたジャンボミル貝。どれくらいでかいのかまあ、みてください。って言ってその大きさがリアルに伝わる写真がないのが残念ですが・・・

 水槽に色々な貝がありますが、その中でひときわ大きいのが今回食べたミル貝です。一緒に並んでいるマテ貝やホタテと比べればその大きさは一目瞭然。これを一人で食べようと思う段階で正気の沙汰ではない、という意見は聞き入れません。現に一人で食べましたよ。料理法はご飯にもよく合うXO醤炒め。出来上がりがこちら。

 これもいまいち大きさがつかめないですね。皿の縁を彩っているきゅうりと貝殻の大きさで推し量ってください。いや〜食べ応えが充分すぎるくらいありました。もちろんお値段もかなりしました。今度ミル貝を頼むときは普通サイズにしよっと。
アワビ
 日本だと高級食材の代表格であるアワビですが、中華料理では干したものが珍重されて、生の状態のものは意外にリーズナブルなんです(ジャンボミル貝を経験したら他どんなものも安く感じるのもまた事実)。だからなのか大きさはそれほどでもありませんが日本よりも格安で楽しむことが出来ます。個人的には刺身のコリコリ感が大好きで実際西貢の海鮮酒家には刺身もラインナップされていましたが、現地の人は火を通したもの、特に蒸したものを勧めてくれます。食べやすいというのはすぐ食べられてしまうことでもあるのでなんだかもったいないのですが、ケチケチせずにガブリといきましょう。

↑これくらいの大きさを後先考えず、ひと思いにガブリと行くのが何より至福のときです。日本じゃなかなか出来ません(香港)
タニシ

これからも世界の国々に行ってまだ見ぬうまい貝に出会ったら随時このページに追加していきます。


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